2012年4月2日月曜日

カナダ移民コラム


不法滞在、不法就労について-2012年2月号-
Q :今月は不法滞在、不法就労についての知識を深めるための例題を作りました。次のうち正しいものはどれでしょうか。

1) ワーキングホリデービザを保有してレストランで働いているAさん。 ワーキングホリデービザが失効する前にワークパーミットを申請した。申請結果が届くまでの間は同じ雇用主の下で合法的に働ける。

2) Bさんにワークパーミット延長の却下レターが届いた。レターには直ちにカナダを出国するか、ステータス回復とワークパーミット再申請を90日以内に行うように指示があったので、再申請すれば結果が出るまでは合法的に働けると解釈している。

3) Cさんは不法就労が見つかりCBSA (カナダ国境サービス局) のオフィサーに現行犯で逮捕された。身柄の拘束は免れたがパスポートを押収された。オフィスに出向いてパスポートを返却してもらい直ちに出国しようと思う。

CBSAの役割の一つに滞在許可証を持たない外国人を見つけだし、国外退去させる強制執行があります。現在は国家の安全を脅かす者、犯罪行為や犯罪組織に関わる者、難民申請を却下されたにもかかわらず引き続き残留する外国人の追放を最優先としていますが、ビザ失効後の不法滞在者、不法就労者も優先順位は低いもののその対象となっているので注意が必要です。一旦、国外退去命令が発行されると理由によって1年または2年、あるいは特別な許可がない限り永久にカナダへの再入国の道が断たれてしまう可能性があります。まずAさんはインプライドステータスが適用され、雇用主、職種等が同じである限りはワーホリビザ失効後も申請結果が出るまでは合法的に就労できます。Bさんの場合は、ワークパーミット延長の却下レタ� ��が届いた時点で就労を中止しなければならず、ステータス回復申請期間中は就労できません。Cさんの場合は直ちに出国できず、Immigration Divisionが行うAdmissibility Hearingに召喚された上で、不法就労が確認されると国外退去命令が出されます。また、ヒアリングのプロセスが省略されてCBSAから直接国外退去命令が出される場合もあります。いずれにしても、カナダ出国の際に空港オフィサーに必要書類を提出し、出国したことの記録が確実に残るようにしなければなりません。従って、今回は1)が正解となります。

住込みナニークラスのオープンワークパーミット- 2012年1月号
Q :12月15日付けで住込みナニークラスのオープンワークパーミットについてルール改定がありました。今月はその内容も含めた本プログラムの理解を深めるための例題です。次のうち正しいものはどれでしょうか。

1) 現在ワーキングホリデービザでホームステイ先の3歳の子供の世話をしているAさん。給与明細をもらっているので永住権申請の際に必要な就労期間に含めたいと考えている。

2) 2年間の住込みナニーとしての就労期間を終えて永住権を申請するBさん。今回の改定により審査が始まる前に最長4年間のオープンワークパーミットを取得できることになった。

3) 住込みナニークラスから永住権を申請するには申請前にナニーとして3900時間のフルタイム就労期間が必要であるが、Cさんは残業や雇用主のかけもちで1年半後に申請できると考えている。

住込みナニー(リブインケアギバー)は幼児や老人、障害者の世話を住込みで提供する職業です。人手不足のため外国人の就労ビザと、その後の永住権取得のための特別なプログラムがあり、2010年には本プログラムから約1万4000人が永住権を取得しました。問題はプロセスタイムの長期化で、従来イニシャルアセスメントが終了するまでの期間(現在約1年半) は、オープンワークパーミットを取得できませんでしたが、今回の改定で申請後間もなく発行されることとなり、早期にナニー以外の職種に従事することも可能になりました。次に永住権申請前の就労期間の要件についてですが、最初の住込みナニーの就労ビザ発行日から4年間のうち24カ月のフルタイム、または、3900時間(但し、少なくとも22カ月の就労期間が必要)の就労後に永住権を申請できることになっています。Aさんの場合ですが、ワーキングホリデービザやその他のオープンワークパーミットは雇用主指定の住込みナニー用の就労ビザではないので、永住権申請時において就労期間として申告することはできません。また、Cさんの場合は例え残業によって必要時間数が満たされていても、前述した22カ月の就労期間を満たさなけれ� ��ならず、また同一期間における複数の雇用主宅への"住込み"は事実上不可能なので要件を満たさないことになります。従って、今回の正しい回答は2)のみとなります。

Ministerial Instruction (MI-4)について- 2011年12月号
Q :11月4日付けで移民省大臣よりMinisterial Instruction (MI-4)が発表されました。今回はその内容について取り上げます。次のうち正しいものはどれでしょうか。

1) 11月5日以降、カナダの大学の修士課程または博士課程に在籍する留学生は、卒業後1年以内に連邦スキルワーカーの申請が可能となった。他のカテゴリーのようにポイントを満たすことや、1年以上のスキルワーカーの職歴を持つことは要求されていない。

2) ファミリークラス(両親、祖父母の呼び寄せ)の新規申請書の受け付けが休止となった。今後2年間のモラトリアム期間中に政府内で新しいプログラムの導入が検討される。

3) ファミリークラス(両親、祖父母の呼び寄せ)休止の代わりとして、カナダ市民権または永住権を持つ子供や孫を訪問する両親、祖父母は、無条件に1度の申請で最長2年間の"スーパービザ"が発行されることになった。

連邦スキルワーカークラスにはこれまで指定職種カテゴリー、雇用保証カテゴリーがありましたが、MI-4によって博士号留学生カテゴリーが新たに追加されました。カナダの州政府認可の私立または公立の大学で博士号取得コースに在籍中であり取得に向けて既に2年間を修了済み、または申請時から遡って12カ月以内にカナダの博士号を取得済みであることが要件となっています。更に、67ポイントのパスマークを満たすこと、及び1年以上のスキルワーカーの職歴が必要なのは他のカテゴリーと変わりません。また修士課程は対象となっていません。次にファミリークラス(両親、祖父母の呼び寄せ)については、従来から未審査ファイル数の増加とプロセスタイムの長期化が問題となっていましたが、今回の発表で2年間の新規申請書� ��付の凍結とその間新しいプログラムを開発することが決定されました。また、これと同時に両親、祖父母が10年間にわたって自由にカナダに入国できる"スーパービザ"が導入されることになり、この期間中最長2年間ステータスを更新する必要なく長期滞在できるようになります。尚、このスーパービザ発行は無条件ではなく、1)健康診断の受診、2)カナダのプライベート医療保険への加入、3)収入要件を満たす子供または孫による経済的援助の保証が必要とされます。従って正しい回答は2)となります。

カナダに家族を呼び寄せる- 2011年11月号
Q :移民者の中には日本に残した家族をカナダへ呼び寄せたいと考える方もいらっしゃると思います。今月はファミリークラスで親族をカナダに呼び寄せるケースを取り上げました。次のうち実現可能性のあるものはどれでしょうか。

1) Aさんの妹は24歳独身で来年3月に大学院を卒業し就職する予定である。これまで一貫して親に学費を払ってもらっていた。妹はカナダ移住を強く希望しているため、親をファミリークラスで呼び寄せる際に同伴者として申請に加えることにした。

2) Bさんは高齢の両親をカナダに呼び寄せることを検討中である。Bさんはカナダ人の夫との間に子供が1人、また夫と前妻との間に生まれた子供2人を引きとり養育しているので計5人家族である。昨年の2人の収入は合わせて10万ドル弱だった。

3) Cさんは現在日本で一人で暮らしている父親をカナダに呼び寄せたいと考えているが、父親は半年前から腎臓を患い人工透析を受けている。但し、カナダ移住後も治療費を自己負担できるだけの十分な資産を持っている。

カナダ移民法では配偶者、コモンローパートナー、22歳未満の子供以外にも、両親や祖父母、親の同伴者として22歳未満の兄弟などを呼び寄せることができます。また、兄弟が現在22歳以上でも22歳になる前から親に経済的に依存してフルタイムの学生を続けている場合は、親の同伴者として呼び寄せることが可能です。しかしながら、ランディングの際に学校を既に卒業し経済的に自立していたり、結婚している場合は永住権を発行されません。つまり、Aさんの妹は申請時に要件を満たしていたとしてもその後就職してしまうことで満たされなくなります。次にBさんは両親を呼び寄せることで家族メンバーは7人となります。申請時に家族メンバーを経済的に支えるための収入要件を満たす必要がありますが、現在7人家族の最低収入金 額は58827ドルとなっているため、Bさんはこの要件を十分満たしています。最後のケースですが、移民法によるとカナダ市民の平均以上の医療費がかかると予想される申請者には永住権を発行しないとされていますが、見積もられる医療費はケースバイケースなので全く可能性がないわけではありません。よって回答は2)と3)になります。

LMO(Labor Market Opinion)の取得可能性について- 2011年10月号
Q :今月はワークパーミット申請に必要なLMO(Labor Market Opinion)の取得可能性について考えるためのケースを作りました。次の各ケースの問題点は何でしょうか。

1) ワーキングホリデービザでホテルのベッドメーキングの仕事に携わるAさん。雇用主にビザの延長を相談したところサポートしてくれるとのこと。但し、書類にはサインするので全て自分で準備するように言われた。これまでにLMOを申請したことがないようだ。

2) LMO承認のワークパーミットで日本食レストランで働くBさんはビザ延長を希望している。問題は実際に支払われている賃金がオファーレターの金額より遥かに低いことと、今年T4を発行してもらえずタックスリターンもしていないことである。

3) ワーキングホリデービザでディッシュウオッシャーとして働くCさん。ビザ延長のサポートを約束した雇用主は実際にはあまり乗り気でないのか申請作業が一向に進まない。コンサルタントを雇って雇用主をうまく巻き込んで作業を早めてもらおうと考えている。

今年4月の移民法改正によってLMOの取得要件が厳しくなり、要求される情報量の増加とプロセスタイムの長期化が顕著となっています。また、LMOのプロセスは本来雇用主のイニシアティブによって進められるものですが、その点を誤解するケースも散見されます。まず、1)のケースはそもそもベッドメーキングのように長期のトレーニングを必要としないロースキルの仕事は、残念ながら現在の景気動向を考慮すると許可される可能性がかなり低いと考えられます。また、書類は本来雇用主が作成するもので、雇用主がLMOの申請要件や手続きの理解を就労者に丸投げしている場合はかなりの危険信号と言えます。2)のケースは雇用主が約束した就労条件を遵守していないことが明らかであり、オフィサーからこの点を突か れた場合に正当な申し開きができないと却下につながります。最後のケースは雇用主にサポートの意思が希薄または優先順位が低い場合です。この場合コンサルタントを雇っても会社の方針や優先順位を変えたり、雇用主に無理強いすることはできないので、結局徒労に終わる可能性が高いと言えます。まずは雇用主とよく話し合ってどの程度本気なのかを見極めることが重要だと思われます。


どのように多くのフィート= 20ヤード

駐在員に必要とされるビザについて- 2011年9月号
Q :今月は日本から派遣される駐在員に必要とされるビザについて、よくある質問を取り上げました。以下のうち正しい考え方はどれでしょうか。

1) トロントの日系企業A社は新規事業進出にあたり、その分野の専門家を急遽雇用することにした。LMO (Labour Market Opinion) の煩わしい手続きを経なくて済むように、本社に採用活動を委託し採用された者を駐在員として迎えようと考えている。

2) ビジターとして7歳の娘を連れてカナダに入国したBさん。娘を小学校に入学させたいと考え学校に相談したところ学生ビザが必要と言われた。知人の駐在員Cさんの小学生の子供は学生ビザを保有していないという。Bさんの子供は違法ではないかと思う。

3) 本社から、社員2名に北米市場でのマーケティング業務を学ばせるために3カ月間無償トレーニングを提供して欲しいとの要請を受けた。その間の給与は本社から支給されるという。この場合ワークパーミットは原則として必要ないと考えてよい。

まず、駐在員用のワークパーミットの発行についてはそのポジションが限られており、エグゼクティブまたはシニアマネージャー (最長7年) と、スペシャリスト(最長5年)のみが規定されています。更に駐在員として派遣されるにはその派遣元において申請前の3年間のうち1年以上フルタイムで駐在のポジションと同様のポジションで職務経験を有していることが必要です。従って1)の場合採用して即派遣する場合は、仮に他の企業で職務経験があったとしても駐在員としてのワークパーミット申請を却下されるおそれがあります。次に、駐在員の子供のように親のどちらかがワーク―パーミットを保有する場合は、本人は小学校、セカンダリースクールに学生ビザなしで通うことができます。一方、親がビジターステータスの場合、その子供には学生ビザが必要となるので注意が必要です。最後に3)は3カ月のトレーニンング目的の親会社から子会社への派遣であり、しかもその間� ��報酬が派遣元の親会社から支払われるという条件においては、トレーニングの内容にもよりますが通常ワークパーミットは不要です。その代わりにビジネスビジターとしてのステータスを空港で申請することになります。従って正しい回答は3)のみとなります。

連邦スキルワーカーの申請方法 - 2011年8月号
Q :今月は最近発表された政府からのインストラクションも含めた連邦スキルワーカーの申請方法について取り上げます。次のうち正しいものはどれでしょうか。

1) 2011年7月1日から2012年6月30日までに受理される指定職種カテゴリーによる申請書のうち審査される件数は、トータル10000ケースとなった。これを超えて届いた申請書は移民局に保管され、2012年7月以降の審査にまわされることになる。

2) CIO(NS州のオフィス)では申請書類の不備チェック、審査を受けるための要件を満たしているかどうかのスクリーニングが行われるだけで、ポイントアセスメントは行わない。尚、申請要件を満たしていない場合は申請書類一式が返送され、申請料が返金される。

3) 申請中に結婚やコモンロー関係の成立、子供の誕生があった場合は、プロセスの遅延を避けるためにも報告を控えることが望ましい。審査が終了し永住権が発行されてから、ランディングの際またはその後改めて移民局に報告すべきである。

6月末の政府発表により、2011年7月から1年間に受理される連邦スキルワーカークラスの申請件数は、雇用アレンジのない申請書に関し上限が10000ケースに設定されました。また、この10000ケースの範囲内で、各指定職種につき500ケースを上限に受理されます。上限に達した段階でそれ以降に届いた申請書は全て返送されます。次にCIOでは1)書類の不備がなく申請書としての要件を備えているか、2)指定職種カテゴリーまたは雇用アレンジカテゴリーのいずれかの申請要件を満たしているか、3)スキルワーカーとしての最低要件及びポイントを満たしているか、なども合わせて審査されます。このうち1)の段階で申請を拒否されると、書類一式が返送され申請料はリファンドされますが、2)まで進んでしまうと申請書類は返却されません� ��従ってこの場合準備をやり直す必要が出てくるので注意が必要です。最後に審査の途中で家族構成が変わった場合は、直ちに報告する必要があります。報告しないままに永住権保有者となってしまうと、申請当時家族のメンバーが実在しなかったことになり(虚偽申請)、後日ファミリークラスでの呼び寄せもできなくなる可能性が出てきます。従って、今回は全ての解答が誤りとなります。

カナダの難民クラスについて- 2011年7月号
Q :今月は少し趣きを変えて一般知識としてのカナダの難民クラスについて取り上げます。以下のケースは難民として認定される可能性はあるでしょうか。

1) 大雨による洪水で川が決壊し家が流され、家族の中でただ一人の生存者となったAさんは、妹の住むカナダに移住することを決心し、カナダ入国の際に難民申請した。

2) プエルトリコ人の夫との間で生まれた子を持つ東洋人の母親のBさん。子供が肌の色の違いからいじめにあい登校拒否に陥った。異なる人種の子供がごく自然に交わるカナダに魅力を感じ、カナダに入国し、その後難民申請した。

3) Cさんの国では女性が社会的に極めて不当に扱われ、男性と同等の権利を保障されていない。ある日度重なる夫からの暴力に耐えかねて警察に訴えたが、助けてくれるどころか足蹴にされた。その後警察へ行ったのを知った夫が激こうし、ナイフを突き付けてきたので生命の危険を感じ国を出ることにした。

カナダの難民認定は、人種、宗教、政治的意見、国籍、特定の社会グループのメンバーであること(女性、同性愛者等)を理由として国家から迫害を受ける恐怖から逃れられず、祖国に戻る意思をなくした人、または、祖国に戻ることによって個人的に拷問、生命の危険、残虐・尋常でない扱いや処罰にさらされるおそれがある人たちを保護するための制度です。年間約2万人以上が難民クラスからカナダ永住権を取得しています。移民法上の"難民"の定義は厳粛に運用され、1)のような自然災害によるものは含まれません。また、祖国において警察等の公権力から保護を受けることができないこと、一地域でなく全国レベルで身に危険があること等が要件となっているため、2)のような特定の学校の事例で、しかも警察が全く関与し� ��いない場合は難民認定の可能性はありません。正解は3) であり、実際に似たようなケースが難民認定を受けています。

ワークパーミットの更新について- 2011年6月号
Q :今月はワークパーミットの更新についてよくあるケースをもとに例題を作りました。以下の判断のうち正しいものはどれでしょうか。

1) ワークパーミットの満期までにLMO(Labour Market Opinion)の発行が間に合いそうになかったので、オンラインでビジタービザを申請した。ビジタービザが届いた後、無事LMOが発行されたのでオンラインでビジターからワークパーミットへの切り替えを申請することにした。

2) ワークパーミット更新のため雇用主がLMOを申請した。ところが、LMO発行が遅れ現在のワークパーミットの満期までに間に合いそうになかったため、LMOなしでワークパーミットを国内申請した。その後LMOが発行されたので、USへの旅行帰りに空港でワークパーミットを申請することにした。

3) ワーキングホリデービザから通常のワークパーミットへの切り替えのため、雇用主がLMOを申請した。無事LMOが発行されたが、新しいワークパーミットを早く取得したいので、国境に行きその場でワークパーミットを発行してもらうことにした。

長く就労したいのか、早く新しいワークパーミットを手に入れる必要があるのか、近々カナダ国外旅行の予定があるのか、発行までにどれだけ日数がかかるか等の要因によって、ワークパーミット申請の適切なタイミング、方法が変わってきます。まず、1)の場合は、ワークパーミット満期後一旦就労を中断しなくてはならなくなる上、ビジターからワークパーミットへの切り替えは国内申請できないので注意が必要です。2) は日本のようなビザ免除国のみに許される方法で、就労を中断する必要がなく、しかも早期に新しいワークパーミットを取得できるので便利な方法です。一旦空港で発行されると国内申請書はキャンセルとなります。3) はボーダーによってはオフィサーの裁量で国内申請を促されることも多く不安定です。 また、手元にステータスドキュメントのない状態でボーダーに行くのもお勧めできません。従って正解は2となり、3)は△になります。

カナダ経験クラスのよくある質問-2011年5月号
Q :今月はカナダ経験クラス(CEC)についてよくある質問をもとにケースを作りました。以下のケースは申請要件を満たしているでしょうか。

1) 2年間フルタイムのカレッジのコース(ホスピタリティー)を専攻した。在学中コープビザで6ヶ月間フルタイムの就労をした。卒業後ヒルトンホテルのフロントデスクとして就労を開始し、計1年となる半年後申請予定。

2) ワーホリビザをフルに活用して約1年間シェフとして働いた。その後日本に一旦帰国し、1年半後ワークパーミットを取得してカナダに戻り、"同じ雇用主の下で"1年間シェフとして働いた。

3) カレッジで2年間のフルタイムコース(ウェブデザイン)を終了し、卒業後すぐにウェブデザイナーとして6ヶ月の契約社員(セルフエンプロイ)となった。その後、正社員として採用され現在8ヶ月になる。

カナダ経験クラス(CECクラス)はプロセス期間も比較的短く人気のある個人移民プログラムですが、申請前には申請要件を満たしているかどうかを正確に判断する必要があります。まず、1)のケースですが、CEC【留学生カテゴリー】が適用されるのは、カレッジ卒業後の就労経験のみで、コープビザでの就労経験はカウントされません。また、スキルワーカーの職種(NOCのスキルレベル0、A、B)に限られるため、フロントデスク(レベルC)は適用外となり要件を満たしていません。次に【就労者カテゴリー】では申請時から遡って3年のうち2年間の就労経験が求められます。従って、2)のケースは同一雇用主であるかどうかに関係なく、更にもう一年働いてからの申請となります。最後にCECクラスではセルフエンプロイでの就労経� �はカウントされないため、3)のケースは更に4カ月正社員として働いた後の申請になります。従っていずれも申請要件を満たしていません。

永住権カード(PRカード)の更新方法 - 2011年4月号
Q :永住権カード(PRカード)の更新は意外と厄介でトラブルも多くなっています。次のうち正しい考え方、適切なアクションはどれでしょうか。

1) 会社から1カ月後のUS出張を命じられた。最近PRカード更新の申請書を送ったばかりなので新しいPRカードは出発日までに間に合わない可能性が高い。この場合、カナダに戻る際にトラベルドキュメントを申請する必要がある。

2) 永住権保有者であるが、しばらく日本に滞在することになり、いつカナダに戻るかは未定である。PRカード更新を済ませてから出国するつもりなので、発行後日本の住所にPRカードを送付してもらう予定。

3) 永住権を取得してから約10年が経過しPRカード2度目の更新が必要になった。但し、計算してみると過去5年間のうち660日しかカナダに滞在していないことがわかった。730日経過してから申請しようと思う。


誰がレイ·クロックの妻であった

PRカード更新は申請時期によっては発行まで予想以上に日数がかかることがあります。1)の場合は、緊急に処理してもらうために必要事項を記載したレターにエアラインチケットのコピーなどを添付してCICにリクエストすることができます。詳細はCICのウェブサイトで確認できます。次に2)のケースですが、新しいPRカードは国内外を問わず郵送してくれず、自分でCICのオフィスに出向き受領しなければなりません。新しいPRカードは自分でCICのオフィスに出向き受領しなければなりません。発行から180日以内に受領されないと廃棄されるので、それ以上長期にわたってカナダ国外に滞在する場合は更新の申請を行う意味がありません。従ってトラベルドキュメン トで再入国した後に改めてPRカードを申請した方が良いと考えられます。最後に3)ですが、2度目の更新の審査では申請時から遡り過去5年間のうち730日を満たしているかどうかが問題となるので、730日を経過するまでは申請しないことが肝心です。よって正解は3)になります。

外国人のカナダでの起業の方法 - 2011年3月号
Q :今月は外国人のカナダでの起業について、現在の移民法の枠内でどういったことが可能か考えてみましょう。以下の考え方は正しいでしょうか。

1) 現在オープンワークミット(雇用主の指定なし)を保有しているが、外国人が会社を設立して個人事業主として活動するのは違法である。

2)日本でユニークなリサイクル関連の事業を展開している。今回カナダ企業数社からパートナーとしてのオファーを受けた。支店を設立してカナダで事業を拡大したい。

3)日本での会社経営の経験はないが、ユニークなアイディアとビジネスプランがあるのでカナダで会社を設立し、自営業者としてワークパーミットを申請したい。

会社組織にはSole Proprietorship、Partnership、Corporation (株式会社)などがあり、設立の要件も異なっています。例えば、1)のような個人事業主の場合はビジネス名として本人の名前以外を使用する場合の登録と、ライセンスが必要な業種の場合その取得が必要ですが、自営業者として外国人の活動が禁止されているわけではありません。2)の場合の支店設立はコーポレーションが一般的ですが、例えばオンタリオ州の場合はディレクターの数の25%以上はカナダに居住するカナダ市民または永住権保有者であることが必要なため、カナダ側のパートナーと会社を設立した上で、その会社からオファーを受ける形でワークパーミットを申請することも法律上は不可能ではありません。最後のケースは最も実現可能性が低いケースです。自営業者のワークパーミット取得のハードルは非常に高く、 カナダの文化、社会、経済(雇用を創出するなど)に多大な効果をもたらすことが条件となるため、日本国内で相当の実績または事業規模を実現していない限りは難しいと言えます。従って正解は2)になります。

外国人一時就労者プログラムが改正 - 2011年2月号
Q :2011年4月1日より、外国人一時就労者プログラムが改正されます。今月は改正のポイントについて取り上げます。次のうち正しいものはどれでしょうか。

1) 現在既に計4年以上カナダで就労している場合は、今年の4月1日以降はワークパーミットの更新はできない。

2) LMO(Labor Market Opinion)の審査の際に、これまで発行したLMOレターに記載された条件を遵守していないと判断された場合、その雇用主はLMOを却下され、ウェブサイト上のブラックリストに会社名、住所が公表される。

3) LMOが許可された場合は、ワークパーミットの発行はほぼ約束されたと考えて間違いない。

4月より外国人一時就労者の保護とプログラムの適正な運用を目的として移民法が改正されます。まず、これまで外国人就労者にはカナダでの就労期間に制限はありませんでしたが、4月以降は例外を除き4年間の上限が設けられます。但し、今年4月1日以前の就労期間はこのカウントに含まれません。次に、雇用主への影響ですが、LMOの新規または更新の際に、それ以前に発行されたLMOの条件(賃金、職種、労働条件等)を遵守していたかどうかという点が新たな審査基準として条文の中に盛り込まれます。これに違反した場合、合理的な申し開きができないと2年間の外国人雇用の禁止を言い渡されます。更に、会社名、住所がCICのウェブサイト上 で公開され、その間はいかなる理由があっても外国人の雇用が認められなくなります。最後にLMOが許可されたからといって、無条件にワークパーミット発行が約束されているわけではありません。サービスカナダの審査に通ってもビザオフィスやボーダーのオフィサーの審査によって就労ビザ発行が見送られる場合もあります。従って正解は2)となります。

カナダ市民権の申請資格と取得のメリット - 2011年1月号
Q :2011年の最初のテーマはカナダ市民権です。市民権を取得するための条件は何でしょうか。また、市民権を取得するとどんなメリットがあるのでしょうか。

1) 市民権を取得するには申請前4年のうち最低3年間永住権保有者としてカナダに居住することが必要であり、ビジターや学生ビザ、ワークパーミットでの滞在は一切カウントされない。

2) 55歳になれば市民権取得のために市民権テストを受ける必要がなくなる。

3) 市民権を取得すると選挙権を取得できるだけでなく、政府機関での採用やアメリカでの就労のチャンスも広がる。

まず、カナダ市民権の申請資格ですが、申請時から遡って4年のうち少なくとも計3年間はカナダに居住している必要があります。永住権以外のステータスでの滞在は半日分しかカウントされないため、例えば計3年の内訳がワークパーミット2年、永住権1年の場合は、もう1年滞在してからの申請となります。市民権申請後は基本的な語学力とカナダについての一般常識(カナダの首都は?など)を問うペーパーテストがありますが、55歳以上はこのテストが免除されています。さて、最後に市民権を取得するメリットですが、もちろんPRカード更新の必要性がなくなり5年のうち2年の居住要件の適応がなくなること、カナダの パスポートが取得できるので再入国が楽になることが挙げられますが、メリットはそれだけではありません。カナダ政府機関での採用において永住権保有者より優遇される他、NAFTA(北米自由貿易協定)を利用することにより、通常のUS就労ビザ(H-1ビザ)と比べてビザ取得の条件が格段に緩和されます。将来USで働きたい、更にグリーンカード、US市民権取得につなげたい人にとっては、そのチャンスが広がります。従って、正解は2)と3)になります。

不本意な判断でビザが却下された場合の対処方法について - 2010年12月号
Q :今月は移民申請や永住権更新を申請した結果、不本意な判断を下されてしまった場合の対処法について取り上げます。次のアクションのうち正しいものはどれでしょうか。

1) ファミリークラス(配偶者カテゴリー)で国内申請したところ、移民目的の偽装結婚を疑われ却下された。数日後IAD(Immigration Appeal Division)にアピール (不服申し立て)することにした。

2) 連邦スキルワーカーで申請したところ、最終的にバッファローオフィスより却下通知を受けた。納得がいかないので1カ月後IADにアピールすることにした。

3) 日本滞在中に永住権(PR)カードの期限が切れてしまったので、再入国のためカナダ大使館にトラベルドキュメントを申請した。ところが、カナダでの居住要件(730日以上の滞在)を満たしていないとの判断が下されたため、入国後直ちにIADにアピールを申請した。

申請が却下されたり、審査結果に不服である場合にはIADにアピールすることがケースによっては可能です。まず1)の場合ですが、スポンサーシップのケースでIADにアピールできるのは国外申請(カナダ国外から申請するという意味ではなく、カナダ国外のオフィスで審査されるという意味)のみで、国内申請の場合はその権利がありません。次に連邦スキルワーカーの場合は、IADにアピールすることができませんが、連邦裁判所から許可を得た場合に司法審査(Judicial Review)を受けることができます。ヒアリングの結果、訴えが認められると審査オフィスに対して再審査の指示が下されます。最後に永住者としての居住要件を満たしていないと国外オフィスから判断された場合は、60日以内にIADにアピールを申請しなければその権利を失います。従って、正しい対処法は 3) となります。

スキルワーカーのとしての職務経験について - 2010年11月号
Q :今月は連邦スキルワーカーやカナダ経験クラスの必須要件である"スキルワーカーのとしての職務経験"について取り上げます。以下はスキルワーカーと見なされるでしょうか。

1) ワーホリビザを保有し旅行会社のカウンターでトラベルコンサルタントとしてエアチケットの手配、宿泊予約などを担当している。業務では英語を使うことも多く、業界の専門知識も必要とされている。

2) ツアーガイドとしてのワークパーミットを取得したが、実際にはツアーにはほとんど出ることもなく社内でウェブの管理やマーケティングの仕事をしている。

3) カレッジ卒業後のオープンワークパーミットを保有し、ファーストフードのカウンターで飲み物とサンドイッチの販売をしている。サンドイッチは注文を受けてその場で作るスタイルなので"Cook"としての申請を考えている。

連邦スキルワーカーやカナダ経験クラスから申請するにはスキルワーカーの職種(カナダの職業分類‐National Occupational Classificationのスキルタイプ0、スキルレベルAまたはB) の経験が必要とされます。1) の旅行業界の場合は、職務内容に部下のトレーニング、管理などスーパーバイザー的な業務が含まれないとスキルワーカーとは見なされません。2)の場合、元々ツアーガイドはスキルワーカーの職種ではありませんが、実際はマーケティングをしていたとして申請できるでしょうか。ワークパーミットに記載された条件(ポジション)と合致しないので調査対象となる可能性があります。3)は通常カウンターアテンダント(スキルレベルD)であり、スキルレベルを誇張申告しているとみなされる恐れがあります。従って、いずれのケースもスキルワーカーとして認められない可能性が高いと言えます。

イミグレーションで要求される健康診断について - 2010年10月号
Q :今月はイミグレーションで要求される健康診断について取り上げます。次のケースでは永住権やワークパーミットを無事取得することができるでしょうか。

1) 永住権申請中に健康診断を受けたところレントゲン写真に黒い影が写り、結核の疑いありとされた。結核は伝染性の病気なので永住権を却下されるのではないかと心配している。

2) 肝機能に問題があり人工透析を受けている高齢の父親を、医療費が原則無料のカナダにファミリークラスで呼び寄せたいと考えている。

3) 先月までシェフとして韓国に3年間滞在していた。カナダのレストランからジョブオファーを受けLMO (Labor Market Opinion)を取得できたので、空港で直接ワークパーミットを申請する予定である。


クローバーを埋めるためにどのように

個人移民の申請が順調に進むと最後に健康診断を受けるよう指示がありますが、1)のようにレントゲン写真に黒い影が写ると、一定期間経過後の再検査と痰のサンプル提出を要求されることがあります。ほとんどの場合不活性の結核と診断され最終的には許可されるので、まず心配はいりません。次に、2)のケースのように移民後高額の治療費が必要になることが予想される場合は、却下される可能性が高くなります。つまり、カナダ人一人当たりの年間医療コストを一定期間上回るかどうかが判断基準となります。但し、配偶者やパートナー、子供を呼び寄せる場合には例外規定があります。3) は、就労などのために6ヶ月以上カナダに一時滞在する際に健康診断が必要とされる場合です。カナダと比較して伝染病発生率が高いと判断されている国(この中に韓国が含まれるのは意外ですが)に入国前1年間のうち6ヶ月以上継続して滞在していた場合は、健康診断が必要となります。従って問題がないと考えられるのは1)のみとなります。

滞在資格の復元について - 2010年9月号
Q :一時滞在のビザが失効した後の滞在資格の復元(Restoration of Status)は、適切な対応をとらないとトラブルになる可能性があります。今月はこの滞在資格の復元について取り上げます。次の考え方は正しいでしょうか。

1) ワーホリビザが切れた後1カ月後にビジタービザと復元を申請したところ却下された。その却下レターを受け取ってから90日以内であれば再度復元を申請して滞在期間を延長することができる。

2) 雇用主がLMO(Labor Market Opinion)を申請している間にワーホリビザが切れてしまったが、その後90日間は合法的に働けるのでそのまま就労を続け、LMOが取得できた後に国境にワークパーミットと復元の申請に行くことにした。

3) ビジタービザの期限が切れる直前にバッファローのイミグレーションオフィスにナニービザを申請した。ビジタービザの延長も復元もせずにそのまま待っていたが、既にビザ失効後90日以上経過している。

まず、ビザ失効後の滞在資格の復元は必ず許可される保証はなく、失効原因やそれまでのビザ申請歴などを考慮した上でオフィサーの裁量によって判断されます。従って、基本的にはビザ失効前に延長申請を行うことでステータスを途中切らさないこと(インプライドステータスの保持)が肝心です。1) の場合、ビジターとして一度復元申請をして却下された場合は、そのままカナダに滞在を続ける途は閉ざされたと理解してください。直ちに出国しないと国外退去命令(Removal Order)を発令される場合があります。次に2)の場合、一旦WHビザが切れるとその後はもはや就労者としてのステータスがなくなるので就労を続けることは不法就労にあたります。更に滞在資格の復元申請はカナダ国内オフィスでのみ有効な方法なので、ボーダー申請は避けるべきです。また、3)の場合はビジタービザ失効後90日を経過すると事実上不法滞在ということになるので注意が必要です。

Post Graduation Work Permit(PGWP)の取得要件 - 2010年8月号
Q :学生ビザで就学した後にPost Graduation Work Permit(PGWP)を取得することは、将来移民申請するための有力なステップになります。今月はこのPGWPについて取り上げます。次のうち正しいものはどれでしょうか。

1)カナダの大学、カレッジ、専門学校、語学学校等において半年以上フルタイムで就学するとPGWPを申請できる。また、カナダの学校であれば通信講座も認められる。

2)カレッジで1年のディプロマコース修了後に日本に一旦帰国。その1年後にカナダに戻り別のカレッジで1年のコースを修了した。この場合、カナダで合計2年間就学したことになるので、PGWPは3年分発行される。

3)カレッジで2年間のディプロマコースを終了した。PGWPを申請したところ書類不備で申請書が戻ってきてしまった。その時点で既に成績証明書発行から3ヶ月以上経過していており、� ��生ビザも切れていた。この場合PGWPの再申請はできない。

PGWPは数年前から取得可能な年数も延び、雇用主のオファーも必要ないため、これを利用して就労経験を積みCEC(カナダ経験クラス)から移民申請するパターンも一般的となってきました。但し、取得要件としてまず、PGWPを申請できるのは大学か公立カレッジ、学士号の発行を認められたごく少数のプライベートカレッジに限られていること、最低8カ月以上のフルタイムのコースに"通学"する必要があることに注意する必要があります。次にPGWPの有効期間ですが、2年以上のフルタイムのコースであれば最大3年間まで発行されます。特殊なケースとして、1年のコース修了後、2年以内に別の1年のコースを修了した場合は2つのコース期間を合算して3年間のPGWPを申請できます。ま� ��、申請時に学生ビザが有効であることが必要であり、コース修了から90日以内に申請しないと申請資格を失うので注意が必要です。従って、正しい回答は2)と3)になります。

連邦スキルワーカー申請資格、申請方法の大幅な改定 - 2010年7月号
Q : 6月26日付けで連邦スキルワーカーの申請資格、申請方法について大幅な改定がありました。今月はこの改定のポイントについて取り上げます。以下のうち正しいものはどれでしょうか。

1)従来はCIO(Central Intake Office)に最初に提出するドキュメントは申請フォームとパスポートのコピーなどに限られていたが、今回の改定で語学試験のスコアが新たに提出書類に加えられた。

2)年間の連邦スキルワーカーの申請書受付け数に上限が設けられ、また、各職業別にも上限が設定されたが、雇用保証(Arranged Employment)のある申請者にはこの制限は適用されない。

3)優先職種カテゴリーから申請できる職種が38職種から29職種に削減された。今回削減された職種で既に申請書を提出済みでも審査がまだ始まっていない場合は、審査に回されず返却されることになった。

今回のインストラクション改定で、これまで申請資格を有するカテゴリーとして、a)カナダで雇用保証があること、b)優先職種で1年以上のフルタイムの職務経験のあること、c)カナダ在住で申請時まで1年以上留学生、就労者として活動していたことの3カテゴリーがありましたが、このうちc)のカテゴリーが削除されました。次に、b)の優先職種リストの職種が変更となり29職種に削減されました。カレッジインストラクターやIT、財務関係の職業が姿を消しています。更に優� �職種カテゴリーで審査される申請者数についてのみ、年間トータル20000ケース、各職種において1000ケースまでと審査される申請者数の上限が設定されました。また、申請方法については、語学試験結果だけでなく全サポートドキュメントを申請時に提出することになりました。尚、このインストラクションの適応時期についてですが、6月26日までに受理された申請書は従来の基準が適応されます。よって正解は2)となります。

一時滞在中のステータス変更方法 - 2010年6月号
Q : 一時滞在中のステータスの延長やビザの種類の変更手続きは簡単に考えてしまいがちですが、一度却下されると後々のビザ申請に影響を及ぼすので慎重に取り組む必要があります。以下のケースは無事ビザが取得できるのでしょうか。

1)ビジターとして滞在中のAさん、カレッジのコースを取るために学生ビザを申請することにした。申請書、申請料、入学許可書、残高証明書など完璧にそろえカナダ国内のビザオフィスに送付した。

2)ビジタービザが切れる直前に延長申請を行い2ヶ月後却下の通知が届いたBさん。急遽学生ビザを申請することにし、バッファローのビザオフィスに申請書を提出した。

3)ビジターとして滞在中のCさんは以前ワークビザを国内申請し却下されたことがある。今回カレッジに行くことに� �り東京のカナダ大使館に学生ビザを申請。"これまで入国拒否や出国命令を受けたことがあるか?"の質問には該当しないと考え"NO"と答えた。

結論から言うと結果は全てNGです。まず、Aさんの場合は初歩的なミス、つまり申請書の送り先を間違えた例です。ビジターから学生ビザ、ワークビザに変更する場合はカナダ国外のビザオフィスに申請しなくてはなりません。そして却下レターが届いた時点で既にステータスが切れていると非常にやっかいです。それがBさんの例になりますが、学生ビザ申請時には既にカナダでの合法的なステータスがなくなっているので移民法上バッファローへは申請できず、東京のカナダ大使館に申請しなくてはなりません。また、東京のカナダ大使館は申請書の記入ミスに大変厳しく、Cさんの� ��合のように国内申請の却下レターを受理しただけの場合でもそれを出国の命令と解釈して質問に"YES"と答えなければ虚偽申告と判断されるようなので注意が必要です。

住込みナニ―プログラム改正 - 2010年5月号
Q : 外国人住込みナニ―に対する酷使や虐待が社会問題になっていましたが、先月住込みナニーの保護を目的としてプログラムの改正がありました。改正後のプログラムの説明として正しいものはどれでしょうか。

1)これまで住込みナニ―のワークパーミットで入国後3年間のうち2年働けば永住権を申請できたが、今回の改正で4年間のうち2年に条件が緩和された。

2)雇用主はリクルート活動にかかった費用を住込みナニ―に負担させることができなくなった。

3)住込みナニ―を保護する目的から、必ずしも"住込み"でなくてもよくなり、"通い"のケースも認められるようになった。

住込みナニービザの保有者は、子供やお年寄り、体の不自由な人を抱える家庭に入って少なくとも2年間就労すると、その後カナダ 国内から永住権を申請する資格を与えられます。この永住権申請の要件を満たすための期間として、これまで3年間の猶予期間しか与えられていませんでしたが、今回の改正で4年間に延長されました。住込みナニ―にとっては途中就労を休止したり、雇用主を変更したりするための十分な期間を与えられたことになります。また、残業時間が計390時間以上に達している場合は、22ヶ月就労後には申請が可能となりました。一方、雇用主側への要求が厳しくなり、住込みナニ―の渡加費用、州の健康保険加入までの保険料、労災保険、ナニ―斡旋会社等に支払ったリクルート費用等を住込みナニー本人に負担させることは一切禁止されました。しかしながら、雇用主とナニ―の間でトラブルを生じさせる原因の一つとも考えられる"住込み"要 件には残念ながら修正はありませんでした。従って、1)と2)が正しい説明になります。

連邦スキルワーカーの申請資格、申請方法 - 2010年4月号
Q : 連邦スキルワーカーの申請資格、申請方法が改定されてから1年以上経過しましたが、この間にポリシーの変更や明確化がありました。今回は主な変更点や間違いやすい点についてとりあげます。以下の解釈や対応は正しいでしょうか。

1)ワーキングホリデービザで働いていてもうすぐ10ヶ月になる。ポイントは基準点を超えそうなのでワーホリが切れる前に申請を済ましてしまいたい。

2)指定38職種で1年以上フルタイム就労経験がある場合の申請先はCIO(NS州のイミグレーションオフィス)、カナダに1年以上滞在できるビザを持っていたり、雇用保証がある場合はバッファローオフィスに直接提出する。

3)カナダの高校・大学を卒業しているので、語学のテストは受験せずに卒業証明とエッセイを提出したい。もし語学� ��ストを受けるように指示を受けたら対応する予定。


基本的にCIOのスタッフは(CICのコールセンターも同様ですが)、法律上の責任を負った"オフィサー"ではなく、決められたルール内で業務を遂行する"エージェント"だと考えるべきです。スタート時にはこのルールの解釈をめぐってエージェント間に相違があり問題となったため、現在ではより杓子定規に対応する傾向にあります。1)のように12ヶ月の就労経験に満たない状態で申請した場合は、フライングと見なされて申請書が返却されているのが現状です。申請先は当初申請カテゴリーによって異なっていましたが、現在はCIO一本に統一されました。語学スコアについては、従来オフィサーから請求があってから提出することも認められていましたが、4月からはこうした2段階の対応は廃� �されることになりました。母語が英語でない限り申請時に語学スコアを準備する必要があります。

オンタリオ州指名プログラム(PNP) - 2010年3月号
Q : 近年、州指名プログラム(PNP)によって永住権を取得する人が増加していますが、どのような要件が必要でしょうか。オンタリオ州のプログラムについての正しい記載を以下の中から選んでください。

1)オンタリオ州で設立から3年以上経過してさえいれば、どの雇用主も業界、企業規模に関わらず外国人従業員の移民をサポートすることができる。

2)応募できる職種に制限はなく、2年以上の経験があればレストランのサーバーなどロースキルジョブにも移民への道が開かれている。

3)過去2年間にカナダの大学、カレッジを卒業した留学生は、雇用主からオファーされたポジションが専攻分野と無関係でもPNPに応募できる。

PNPは、申請者だけでなくサポートする雇用主も一定の基準を満たしていることが必要で� �。まずPNPのスポンサー企業は、3年以上経営している企業であれば業界、企業形態等は問われませんが、前年度の売上が100万ドル以上(GTA以外に立地する企業は50万ドル以上)あり、5名以上のフルタイム・パーマネント従業員(GTA以外に立地する企業は3人以上)を雇用している必要があります。応募できる職種は、オンタリオ州の場合スキルワーカーの職種(NOCの0、A、B)に限られます。(BC州やAB州では、ホテルフロント、クリーナー、サーバーといった一部のロースキルジョブにも申請資格が認められています。) 最後にオンタリオ州の最近の大学・カレッジの卒業生は、オファーされたポジションがスキルワーカーである限り職務経験は不要で、また、専攻分野とは無関係な職種でも申請資格が認められています。従って正しい回答は3)にな� ��ます。

入国拒否や出国命令を受けた場合の対処について - 2010年2月号
Q : 今回は入国拒否や出国命令を受けた場合の対処について見てみましょう。以下のケースではどのように対応するべきでしょうか。また、適切な対応がとられなかった場合に、どのような影響が考えられるでしょうか。

1)カナダで不法滞在を通報されCBSA(Canada Border Service Agency)からExclusion Order (排除命令)を受けたAさん。このまましばらく滞在していてもいいのだろうか。

2)ワークビザを申請したが最終的に却下となりステータスを失ったBさん。CICからのレターには直ちに出国しないとEnforcement Action (強制執行) が発動されると書いてあった。

3)入国審査の際にMisrepresentation (虚偽申告)と判断され強制送還となったCさん。半年後に学生ビザで再入国することを計画している。

出国命令を受けた場合は、迅速かつ適切な対応を取らないとその後のカナダ再入国やビザ申請結果に深刻な影響を及ぼすので注意が必要です。まず、AさんのようにExclusion Orderが発令されると向こう1年間はARC(Authorization to Return to Canada)を取得しない限りカナダに再入国できなくなります。また、発令から30日以内に出国しないとExclusion OrderはDeportation Order(国外退去命令)に変わり、カナダ入国の際には毎回ARCが必要になります。Bさんの場合は、90日以内にステータス回復を申請するか直ちに出国することが必要です。Cさんの場合はかなり深刻で、その後2年間は、学生ビザではもちろんビジターとしても再入国できず、また、2年経過後もビザや永住権申請の際に精査を受けることになります。

カナダ入国の際に遭遇する可能性のあるビザトラブルについて - 2010年1月号
Q : 今回はカナダ入国の際に遭遇する可能性のあるビザトラブルについて取り上げます。以下のケースはいずれも最近の実例ですが一体何が悪かったのでしょうか。

1)3年間カナダ滞在後に日本に1ケ月間一時帰国し、その後ビジターとして再入国を試みたAさん。入国審査で追及され実はワークビザが下りるまでボランティアをする予定だと言ったところ強制送還になった。

2)LMO(Labour Market Opinion)があれば国境でワークビザを発行してもらえると聞いてUSボーダーに行ったBさん。威圧的な対応を受けた末、国内オフィスに申請するよう指示された。

3)最近永住権を取得したCさん。ランディング(永住ビザの有効化)のためにUSボーダーに行ったが、雇用先の給与証明がないという理由で手続きをしてもらえなかった。

ボーダーにはビザの専門ではないオフィサーも配置され、予想外の対応を受ける場合があります。Aさんは元々就労目的なのにビジターとして入国しようとしたこと、ビジターでのボランティアは不法就労に当たることを認識していなかったため厳しい措置を受けました。Bさんの場合は、雇用主が緊急を要していない場合はボーダーでのビザ発行を拒否し国内申請を促すことができるという、オフィサーの� ��量権を行使されてしまいました。Cさんのようなケースは極めて稀ですが、移民後の経済的自立に懸念ありと判断されその証明を通常より厳しく求められた例です。いずれにしても記録に残って後々のビザ申請に影響を及ぼしたり精神的ダメージも大きいので、ボーダーでの申請に当たっては書類不備や虚偽申告がないように十分注意する必要があります。

ケベックスキルワーカークラスの審査基準に若干の変更 - 2009年12月号
Q : 10月14日付でケベックスキルワーカークラスの審査基準に若干の変更がありました。今月はケベックスキルワーカーについてよくある質問や相談をとり上げます。

1)ケベックスキルワーカーから移民申請中のAさん。ケベック州の審査は無事通過したが、連邦政府で落とされることもあるのかどうかを知りたい。

2)理系出身でフランス語も大学で履修したことのあるBさん。連邦スキルワーカーの申請資格が満たせないのでケベックスキルワーカーでの可能性を探りたい。

3)ケベックスキルワーカーから永住権を取得したらケベック州以外には住めないと聞いたが本当か。

ケベックスキルワーカーの審査プロセスについては、まずケベック移民局でポイントを満たしているかどうかのペーパースクリーニング、続い� �語学力とケベック社会への適応性を審査するインタビューがあり、それに合格するとCSQ(ケベックセレクションサーティフィケート)が発行されます。その後連邦政府で犯罪歴のチェックと健康診断が行われますが、再度申請者の資格を審査することはありません。次に審査基準ですが、学歴についてはBさんのように理系学部、技術系が有利で、修得した学位、ディプロマの種類によってボーナス点が加算されます。また、フランス語のコミュニケーション能力があり35歳以下であれば高得点をマークできるので、資格を満たせる可能性も高いと予想されます。最後にケベックスキルワーカー申請の際にケベック州移住の意思表明と、ケベック州からのランディング(永住権取得後の最初のカナダ入国)が必要になりますが、移住後に何ら かの事情でケベック州外に移ることになってもペナルティーはありません。

ワークパーミットに関する様々な疑問、誤解 - 2009年11月号
Q : 今月も引き続きワークパーミットに関する様々な疑問、誤解について取り上げます。今回は以下の3つのケースについて見てみます。

1)雇用先の指定されたワークパーミットで働いていたAさん、会社が業績不振に陥り最近解雇されてしまった。引き続きカナダに残って就職活動したいと考えている。

2)Bさんの雇用先も不景気で就労時間数が激減。LMO(Labour Market Opinion)申請時に約束された給与の半分しか受け取っていないが、来年もワークパーミットを更新したいと思っている。

3)現在学生ビザでヘアースタイリストになるためのプライベートカレッジに通学中のCさん。経験を積むために半年くらいインターンシップかアプレンティスシップ(見習い)で働く予定である。

景気後退の影響で1)や2)のようなケースが増えています。まず、Aさんのように解雇されたり自分から転職する場合ですが、別の雇用主の下で就労を開始するには改めてその雇用主にLMOを取得してもらい、ワークパーミットの書き換えが必要になります。但し、現在保有するワークパーミットの期間中は"ビジター"の状態でそのままカナダに合法的に滞在することができます。Bさんのケースですが、これまでLMO発行後� ��政府によるモニタリングは比較的甘かったのですが、現在、雇用条件を遵守しない雇用主に対する制裁措置を盛り込んだ移民法改正案が検討されており、Bさんのようなケースは今後益々更新が難しくなる可能性があります。Cさんの場合は、インターンシップが現在履修中のプログラムの修了要件になっていない限りワークパーミットは発行されません。また、アプレンティスシップのビザというのも存在しません。

LMO(Labour Market Opinion)の必要なワークパーミット - 2009年10月号
Q : 今月はLMO(Labour Market Opinion)の必要なワークパーミットについて取り上げます。以下のケースではワークパーミット取得は可能でしょうか。

1)スターバックスのカウンターで働くワーホリのAさん。オーナーからワーホリ後も引き続き働いて欲しいと言われている。ビザが下りやすいようにタイトルも変更してくれるとのこと。

2)日系の自動車部品メーカーから仕事を受注し翻訳の仕事をするBさん。自動車部品の知識を必要とするため他に代わりが見つからないようだ。

3)電気工務店に勤めるワーホリのCさん。日本での経験も生かし電気技師としてワークパーミットを取得、移民したいと考えている。

A : ワークパーミットを取得するには、先月取り上げたオープンワーク等を除き、まずサービスカナダによって雇用主のジョブオファーの有効性が確認される必要があります(Positive LMO)。雇用主は十分なリクルート活動を行って、カナダ市民、永住権保有者の中に当該業務を遂行できる人材がいないことを証明しなければなりません。まず、Aさんですが、特殊な知識やプロセスを必要とする商品の販売とは言えないので、現状少なくともオンタリオ州ではこの職種でワークを取得するのは難しいと思われます。Bさんは職種としては可能性がありますが、LMOを取得するには取引先のメーカーにフルタイムの従業員として雇用される必要があります。Cさんの場合はスキルワーカーでもあり人材不足の職種とされていますが、州によっては州のライセンスが必要とされるため、仮にLMOが取得できてもワークパーミットを発行されない可能性があります。

オープンワークパーミット(雇用先指定のない就労ビザ)について - 2009年9月号
Q : 今月はオープンワークパーミット(雇用先指定のない就労ビザ)について取り上げます。以下のケースではワークパーミットの取得は可能でしょうか。

1) プライベートカレッジでヘアードレッサーになるための1年間のディプロマコースを履修中のAさん。卒業後はアプレンティスとしてヘアーサロンで働きたいと考えている。

2) 現在Post Graduationのワークパーミットで就労中のBさん。最近結婚したばかりの配偶者もオープンワークを申請できるのかどうかを知りたい。


3) カレッジ付設のESLコースに6か月間通った後、同じカレッジの2年間のディプロマコースを取る予定のCさん。なるべく早くオフキャンパワークを申請したいと考えている。

A : オープンワークパーミットとはLMO(Labour Market Opinion)なしで一定期間就労を許可されるワークパーミットのことで、ワーキングホリデービザなどもこの中に含まれます。さて、Aさんが申請しようとしているのはPost Graduationのオープンワークですが、これは大学、公立のカレッジ、学位の発行を認められた一部の私立カレッジの当該コース履修生にしか認められていないので、残念ながらオープンワークは発行されません。Bさんの場合はPost Graduateのワークパーミット保有者の配偶者であることを証明することで配偶者もオープンワークを申請することができます。オフキャンパスワークは、最低6か月間の就学期間が経過してから申請可能になりますが、ESLは対象外とされているのでCさんが実際に申請できるのはディプロマコースが始まってから6か月後になります。



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