2012年5月7日月曜日

2005IFCO世界里親大会記録アメリカ、 IFCO2005 Record Wisconsin


2005年世界里親大会参加記録


index.htm へのリンク(テキストの全文)


14th IFCO 2005 Biennial Conference

International Foster Care Conference (IFCO) 

August 7-12, 2005, Madison, Wisconsin, USA

Record, by a Japanese participant

 

200587日(日曜日)〜812日(金曜日)●

アメリカ合衆国ウイスコンシン州マジソン市

 国際フォスターケア機構IFCO14回世界里親大会2005(隔年開催)

 

北海道 里親 中兼正次

Shoji Nakagane, Hokkaido, Japan, foster parent


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2011IFCOカナダ大会の参考に、2005年アメリカ大会の参加記を参考として掲載します。

本文の修正のほか、写真を近くアップします。

201178日 JULY 8, 2011

        

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 20058月に、アメリカ・ウイスコンシン州の州都マジソン市で開かれた、国際フォスターケア機構IFCOによる、2年に一度の世界里親大会に参加してきました。日本からだとなかなか参加できない大会なので、見聞きしたことを記録しました。

 大会の参加者は、全部で約700名(主催者発表)で、そのうち日本人は大人6名です。37の国と地域からの参加がありました。

 記録には、英語のヒアリング能力が十分ではないので、ところどころに聞き間違いがあるかと思いますが、ご容赦ください。大会は8月7日(日)〜13日(土)の7日間でしたが、私が参加したのは7日(日)、8日(月)、9日(火)、12日(金)の4日間です。

 10日(水)は大会の中日でお休みになり、オプショナル・ツアーがいくつか組まれていましたが、私は別行動をとりました。

 

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   ●●8月7日 日曜日 = 大会開会式●●

 

 マジソン市は、二つの湖にはさまれた、人口22万人の街です。大会は、そのひとつ、モノナ湖のほとりに1年前に建てられたホテル・モノナ・テラスで行われました。(里子会議は別の会場で開かれました。)

 受付で、黒いビニール製のリュックサックをもらいました。中には、大会パンフレット、名札、マジソンの地図、メモ用紙、参加証明書、「地球に優しい子供の育て方」という本、近くの店の割引カードなどが入っていました。

 

 

 以下、開会式の様子です。

 今回の大会の実行委員長である全米里親会長のコラ・ホワイトさんの開会宣言で、大会が始まりました。彼女は4年前2001年に札幌、2004年に東京で開かれた全国里親大会に参加されており、私とは3度めの対面でした。2002年に、我が家の中2の娘たちが、夏休み1ヶ月間のホースステイでお世話になったご縁でもあります。

 

 次に、参加各国と各地域の旗が入場しました。地元のボランティア学生らしい男女が順番に旗を持って入りました。日の丸もありました。数えると、ウイスコンシン州やアメリカ・インディアンなども含めて、37の名前が挙げられました。最後に、男女の軍人4人が、アメリカの国旗と銃を持って入場しました。

 

 米国国歌のアコーディオン演奏がありました。州庁舎や退役軍人博物館の説明などでも感じましたが、アメリカ人は自国の軍隊と国旗に高い敬意を払っているようです。

 

  <呼ばれた国と地域の名称>

    ウイスコンシン州、アメリカ・インディアン(旗なし)、アルバニア、アルゼンチン、オーストラリア、ブルガリア、ブルンジ、カナダ、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、ガンビア、インド、アイルランド、日本、コソボ、アルジェリア、モルドバ、モンゴル、オランダ、ニュージーランド、ネパール、ナイジェリア、ノルウェー、ポルトガル、スコットランド、南アフリカ、韓国、スウェーデン、ウガンダ、ウクライナ、イギリス、アメリカ、ウエールズ、クルディスタン

   

 8〜10人もの挨拶が続きました。

 「1973年に、イギリスで世界こども会議が開かれ、70カ国から人々が集まり、IFCOが創設されました.....。」

 「コラとシェーリーは、1997年からこの大会の準備を始めました.....。」

 「この大会は、里親会と養親の会が一緒になって開催する、初めての会です.....。」

 日本からは、全国里親会の渥美会長の代理として、佐野利明理事がメッセージを読み上げ、コロラド州在住のヘネシー澄子氏が通訳しました。

 「この大会の開会をお祝いします。渥美会長から派遣され、メッセージを代読します。子供の成長は望ましいことですが、世界にはそれが阻害されている子供が多いです。里親制度は素晴らしいものです。日本でも最近、里親制度が改正されましたが、まだ制度的に不十分です.....。」

 挨拶が終わった後、メキシコの勇壮な太鼓と民族舞踊、メキシコの宗主国だったスペイン風のフラメンコなどが続きました。

 

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    ●●88日 月曜日 大会2日目  ●●

 

● 全体会

 ロズマリー・カルビノ教授(ウイスコンシン州立大学マジソン校)の講演

 

 子供は、実親と里親の両方を大切にできます。里親として、その行動が良かったかどうかは、ずっと後にならないと分かりません。フォスター・ケアは、家庭全体の仕事です。里親とエージェンシーと実親の、共同作業です。解決法の答えはなく、問題の解決法には、いかなる方法でもありえます。アメリカでは、実親と接触することの効果が注目されています。里親の数が、多くの国々で減少してきています。

 ソーシャルワーカーは忙しく、毎週里親と接触するにしては、時間が足りません。役所からの支援は少ないです。里親家庭では、子供の栄養状態が悪いことが多いです。養育に、実親をもっと含めるべきです。学校を出たてのソーシャルワーカーに対して、里親は自分の経験を伝えて、教えることができます。

 foster parents agencyが多くの支援をしています。里父は、子供の福祉の中では影が薄いことが多いです。

 

 <講演の最後に男の人が出てきて、ウクレレのような楽器を使って歌いました。この日の夕方、ファミリー・コンサートを開く予定の、ピーター・アルソップ博士でした。>

 

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● インターネットを使った里親の研修   9:00-12:00

  Connecting caregivers in cyberspace: internet tools for foster parents

   リチャード・ディレーイニー博士

     (デラニーと書きますが、発音はこのように聞こえました。)

   Presenter. Richard (Rick) Delaney, PhD, Foster Parent College, Colorado

   

 

参加者 7名

  リック・ディレイニー博士  コロラドの大学の先生

  ノースダコタ州の大学のトレーニングセンターの先生

  ウィスコンシン州のソーシャルワーカー

  ウィスコンシン州の里親

  イギリスの里親エージェンシーの女性

  里親歴5年目、教育委員で、子供がいる男性

  中兼正次

 

 私の10歳になる娘は、日本の漫画に凝っていて、「日本人になりたい」と言っています。

 ベッドの下にビニール袋の麻薬や武器を隠した10歳の女の子の例。この行動には100種類もの理由があるでしょう。

 8歳の男の子が、一人っ子で、これまでど通りに王子様でいたかったのに、4カ月の女の子の里子が王女様としてやって来たとたんに、怒鳴りちらすようになりました。

 躾るのに、髪の毛を引っ張るのは、マイナスのやり方です。

 里子が物を盗むのは、生存するためです。壁を叩いてひびを入れたときは、しつけを始めるチャンスです。

 8歳の男の子が、父母の離婚に落ち込み、ADHDになり、白いカーペットにジュースをこぼしました。父は怒って、コップを床に落としました。そのようなとき、私なら怒らないで、息子に掃除をするように言います。子供は、そのような出来事をずっと覚えています。

 

 里親はしつけの仕方を学びたがっています。

 私は、里親がインターネットの中でケーススタディを通してしつけの方法を学べるように、「フォスター・ペアレント・カレッジ」というサイトを開設しています。オンラインまたはDVDの形式で提供しています。パソコンでそのサイトをお見せします。

 fosterparents.college.com 

 インターネットの中では、何でも不安なく言えます。サイバー・セラピーも可能です。イエスかノーかが言えないODD、PTSD、ADHD等々に対する対応方法を説明します。

 問題行動には理由があります。それは、子供達が自分を安全にすることです。ちらかったベッドルーム、ADHD、パワーコントロール(力の管理)、アンガー・マネージメント(怒りの感情の管理)、アタッチメント・ディスオーダー(愛着障害)等々。

 里親の多くは望みませんが、最近アメリカでは、里子を実親に会わせることが推奨されています。

 里親が自宅で研修することを、イン・サービス・トレーニングと言います。州によって違いますが、里親は1年間に短くて12時間、長くて3日間、研修を受ける義務があることが多いです。ただし、ウイスコンシン州にはそのような義務はありません。仕事があるのでこの研修に父親が参加することは難しく、母親が行くことが多いです。ホームページを使って研修を受けることもできます。州によっては、そのホームページの利用が有料の場合と無料の場合があります。

 フラッシュ・プレーヤーというソフトで、ある里親家庭の会話の事例を紹介します。掲示板(ディスカッション・ボード)で、登録者同志が討論しているところに、私からアドバイスを書き込みます。

 

 摂食障害eating disorderは、ネグレクトから起こります。食べ物を盗んだのは、自分の生存のために確保しただけで、自分を守るためです。オンラインまたはDVDを使って、有料で研修を受けることができます。

 里親のところに里子が来たら、まず体と全ての持ち物を洗うことが多いでしょう。しかし、それはマイナスのやり方です。今まで住んでいた所から持ってきた、よだれがついて汚れたテディベアの縫いぐるみまで洗われてしまうと、里子は、それ以前の自分が大事にしてきた過去を消されてしまい、戸惑います。

 同じインターネットでも、チャットはスピードが早すぎて編集できないので、掲示板を使って指導しています。

 実子が、あめ玉を里子に渡さないように、靴の中に隠すこともあります。

 ブッシュ大統領は、多額の予算を里親のために支出しています。

 このDVDは以前は個人にも売っていましたが、違法コピーを作る人が出てきたので、里親のエージェンシーにしか売らないことにして、ほとんどはインターネットで指導しています。

 

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● 8月8日月曜日 1330分−15

  ソ連崩壊後の養育  fostering in post soviet transition

  ミラ・アントニャン博士

  Mira Antonyan, Phd, 社会学者、アルメニア国エレバン市 エレバン国立大学

   eght hundred social workers, 15 academics-teachers  who teaches in university and about 200 students who are going to become a social workers.

 

 アルメニアには、ソ連時代はソーシャル・ワーカーがいませんでした。


そこには、米国でどのように多くの海洋博物館です。

 私はアルメニア初のソーシャルワーカーです。1988年に大地震があり、23,000人が死にました。その直後199112月にソ連が崩壊し、扉が開きました。手紙の検閲がなくなり、外国から多くの援助がやってきました。ソーシャル・ワーカー、セラピストなど、知らない分野の専門家がどっと入ってきて、援助を受けました。

 そのうち、ナゴルノカラバフで戦争が始まりました。アルメニアはキリスト教国ですが、その周りに多くのイスラム教国があります。1950年にユダヤ人虐殺がありましたが、みな沈黙し続けています。1990年代に赤十字がやってきました。イギリスなどとの交流計画が始まりました。

 

 旧ソ連は、里親について否定的でした。わずか2カ所の施設に、障害者などの子供が45,000人いました。みなバラバラになって引き取られていきました。施設に残ったのは、貧しい子供だけでした。人々は政府と施設しか信用しておらず、政府は偉大なる父親であり、傘になっていました。戦争孤児が多かったので、周りの人たちが、子供の面倒をみる必要があったのではないかと思います。

 別の地域に移された子供たちは、周りの大人達から信用されませんでした。親類だったら面倒をみたでしょうが、親類は無料奉仕です。

 政府と親類しか信用しない考え方が、里親制度にとっての障害でした。虐殺の後、5万人の孤児が施設に残りました。

 施設に残った子供は、「家族のモデル」が分からず、団体(グループ)しか知りませんでした。それで、彼らが結婚しても、自分達の子供をまた孤児院に送りました。

 

 その後、ソ連崩壊で、施設の職員に給料が払えなくなり、施設がなくなりました。それで、40人の職員が、100人の子供をそれぞれ別々に育てることになりました。

 2007年に、140人の子供を里親に回すための予算が取れました。公式な証明書は何も出せませんが、「この子がこの親の子供」という、地域単位の考え方を採用し、死ぬまで面倒をみるという形を作ろうとしています。

 里親を、お金もうけのビジネスにするか、無償奉仕として一生暮らすかが問題です。

 アララタ山脈のふもと、ガルシ市の山の上には、3,400のキリスト教会があります。

 レーニンが、ナゴルノカラバフをアルメニアから切り離して、アゼルバイジャンに売ってしまいました。ゴルバチョフが軍隊を送り込んできて、戦争が始まりました。

 アルメニアには、120歳の老女がいます。今のアルメニアには、子供の居場所を調整する機関がありません。子供のことは家庭内の問題とされ、役所も責任を持ちません。

 

 アルメニアに里親制度を普及させようとしています。欧米の異なるやり方を取り入れます。ゲイ、レズビアンなど、異なる考え方を取り入れるのには、不安があります。

  古い教会が、里親の仲介役になります。お金の支払いの有無は問題ではありません。子供の安全が第一です。ボランティア団体は、里親か施設に送りますが、その後は一切関知しません。ロシアにも、まだソーシャルワーカーはいません。

 

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● 傷ついた子供たちのいやし方  14:00-17:00

   フランク・クンステル博士 コロラド州のセラピスト 参加者50

   Understanding the unnatural history of hurt children ideas and strategies for helping foster parents to build enduring success

   Frank Kunstal, Phd, therapist, ft, collins , CO

   

collins/kunstal-frank-r---psychologist

 

 虐待されていない子供が、「親から虐待を受けた」と証言することがあります。風呂で鼻血を出したのに、「母親から殴られた」と他人に言うことがあります。そうすると、母親が警察に連れていかれる危険があります。

 そんな時には、子供に対して、「いつ、何がどうなって、なぜそうなって、だれが悪くて、だれに謝らなければならないと思うか」を、詳しく書かせることで、作り話を見破り、反省させることができます。

 「お母さんが帰って来る前に、クッキーをつまみ食いした人はいなかった?」というように、最初静かに聞き始めて、「いいや」と嘘の答えが返ってきたら、「見てたわよ!」と怒鳴りつけて叱りましょう。子供はいつもウソをつき、親を戸惑わせるものです。

 「知らない人と話をするな」というのは、安全な言い方ではありません。本当に危ないのは、顔も知らない人ではなく、知っている人のことが多いからです。「道に迷ったら、警察官に聞きなさい」というのもだめです。制服を着ている人は世の中にたくさんいるので、だれが警察官か見分けがつかないからです。

 

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     ●● 89日 火曜日

 

9時〜10時半

  子供のパーマネンシー(落ち着き先) permanency for children

   スティーブ・オバーショウ Steve Obershaw

    アンナ・ランキンAnna Rankin

   ウイスコンシン州ディーン郡事務所のディアナ嬢

 

 (以下、オバーショウ氏の話)

 私の息子が京都の女性と結婚し、1歳半と5歳と生まれたての赤ちゃんと一緒に、日本に住んでいます。南ウイスコンシン管轄の役所で、22年間、子供と障害者の支援をしてきました。

 この分科会の参加者は、どちらからおいでですか? (参加者から、クロアチア、デンマーク、アイルランド、ミネソタ、日本等の名前が挙がる。)

 5年前、ウイスコンシン州養子計画State Adoption Programができました。5年前から州の予算がなくなり(注:詳細不明)、エージェンシーとの契約adoption contractが続いています。これまで5カ所のエージェンシーとの契約を結んできましたが、今年は3カ所に絞りました。

 

 「1997年養子と安全な家庭法」The adoption and Safe Families Act1997が、子供に定住の権利を与えました。子供が24カ月以内に定住場所を決定できるようにして、その率が37%に上るようにするのが目標です。

 パーマネンシーは、州法で定められたものです。実親を離れて福祉の世界に入った子供は、24カ月以内に、5つのオプションの中から、permanency居場所(定住場所、落ち着き先)を選ばなければなりませんし、選ぶ権利があります。また、連邦法で、15カ月以内に、その後の居場所を考えるため。裁判所に行かなければなりません。

 

  @ 養子縁組(裁判所の承認)−  親権

  A 永続的養育   親権

  B 後見− 州全部で50人くらいしかいない

     親族(216$と手当が少ない。母親が服役している間に姉に預ける例。)と非親族がある。 

  C 長期里親 − 養子縁組を望まない子供のため。

  D 親族里親 − いとこなどに預けるもの。

 

 ウイスコンシン州養子縁組計画によると、子供向けの福祉政策には、公的・私的な方法で養子になった人も含まれます。ウイスコンシン州の養子縁組の失敗例は、4%だけです。5年前は、養子縁組が500組しかありませんでしたが、今は1,400組に増えました。永続的に良好な状態を目指します。

 

 障害児の場合には、18歳まで段階的に育てる必要があるので、24ヶ以内にというのはさすがに無理なため、別のプログラムが必要です。

 ウイスコンシン州ではオープン・アダプション(カードや集団見合いを使った養子縁組。)は行われていません。ウイスコンシン州の養子の83%は、里親がそのまま養子にしたものです。

 

 皆さんの地区の1ヶ月間の里親手当はいくらですか?

 (アメリカ人参加者からの回答を受ける。) 

 里親手当は、フロリダ州では月375ドル、ウイスコンシン州では2,000ドルが上限ですね。生まれたときの状態、コカイン・ポジティブ(陽性)かどうか等の状態によって、額が変わります。

 世界的な流れとして、コストが高い里親制度から、養子縁組みに移行するのが、安上がりの政策ではないかと思われます。

 複雑な経過がある場合には、ソ−シャル・ワーカーの助けが必要です。ウイスコンシン州では、養子になった後でも面倒をみています。12歳以上の子供は、本人が養子縁組を希望しない場合が多いです。

 

 最近、私の職名が変わりました。以前は、アダプション・アンド・コンサルテーション・スーパーバイザー(養子相談調整員)と呼ばれていましたが、今はステート・パーマネンシー・コンサルタント(州定住コンサルタント)と呼ばれています。

 多くの子供が、プライベート・エージェンシーに行きます。

 

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● 89日 1030分〜12

  子供の養育:実際的な最良の道具

  Looking after children : a tool for best practice that actually works!

   オーストラリアとカナダの ソーシャルワーカー

   Kathleen Kufeldt, Phd. canada

 

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● 日本の里親事情  別記。

 

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●● 812日 金曜日 ●●

 

● 朝の全体会

   ジェイン・アスキス Jane Asqith

    イギリスのBAAFという団体の、コンサルタント

    

 

 ファミリー・マップを作りましょう。誰が一番先に起きて、朝トイレに行き、犬にエサをやって、食事を取り、テレビをつけ、出勤し、学校へ行くか、記録しましょう。夕方は、誰が夕食をとり、薬を飲み、皿を洗い、テレビをつけ、寝るか。

 こうした記録をつけることで、家の中の家族の動きが見えてきます。

 

  (英語が早過ぎ、抑揚がないので、聞き取りにくい。)

 

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● 壮大なサービス

  The magnificence of S.E.R.V.I.C.E 

   マーク・アンソニー・ガレット Mark Anthony Garette

     

   動機付け訓練話者motivational speaking & training, Reynoldsburd, Ohio 

   (注:聴衆を励ますカウンセラーのようなものか?)

 

 私は里子でしたが、その後養子になりました。貧困、ネグレクト、虐待を経験しました。

 ホームレスの子供達に、人生を深く考えてもらうため、アンネ・フランクの話を聞かせるようにしています。

 (中学生くらいの不良少女が、アンネの記録ビデオを見て、「同年代の子供が、こんなに苦しい目に遭いながらもがんばったということを知り、感動して、自分も頑張らねば、と思い直しました。」泣きじゃくるテレビ・ドキュメンンタリーを流す。)

 

 そのような子供達に、マイノリティ、暴力、痛みなどの存在と、その解決法、その経験を伝え、希望を与えまています。そのため、本も書きました。子供が、麻薬など何か大変な経験について話すときには、何倍にも誇張したがるものです。

 

 それでは、私が子どもたちに訴える時のモットーをお話しましょう。

 

 SHARE 分かち合い。

 私が子供の頃、自転車に乗る練習をしました。父が後ろに付いて押してくれました。あるとき、父が後ろにいると信じながら、ああ、乗れた、とスピードを上げたところで、ふと後ろを振り向くと、父はずっと後ろで笑って手を振っていたので、慌てました。

 自分が持っているものを、すべて他の人と分かち合いましょう。愛でも何でも良いです。駐車場も分かち合いましょう。分かち合ったら、戻ってこないのではないかと不安になりがちですが、そんなことはありません。


どのようにlobyistsは公民権法案をinfluncedた

 1977年、里子だった私は、知的障害児用の特別な授業special education を受けました。里子は成績が悪いと思われていたためです。しかし、そのときの先生は、何でも分かち合ってくれたので、その先生を信頼しました。

 

 期待 Expectancy

 出産を予定していれば、次にどうなるかを予想し、何をすべきかを深く考えるでしょう。自分が持っていないものを、子供に教えることはできません。

 

 報酬 Reward

 

 独立Independent

 相互に得るもののがなければなりません。社会福祉などは、いつも受け取るものと思いがちですが、そうではありません。子供が大きくなったら、感謝の気持ちを返してくれるでしょうから、いつまでも与えるだけでもありません。レイプされたのは、自分の責任ではありません。

 

価値 Value

 

投資 Invest

 自分をより良く、強くするための投資をしましょう。子供は、親から言われたことの意味を分かっていても、やらないことがあります。2人で歩くときには、どちらかが相手のペースに合わせざるを得ません。

 

約束 Commitment

 

優秀 Excellence

 船が沈むとき、助かる方法は、自分に勝つことだけです。

 

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● 強いカードと熊のカード

  How to work with strength cards and bear cards

   Annica Tempte, Ingrid Johnsson, social workers, landskrona, sweden

   ソーシャル・ワーカー、スウェーデン

 

 私はスウェーデンの人口3,500人の町で、ソーシャルワーカーをしています。その町に、110人の里子がいます。

 ソーシャル・ワーカーは、2つの区分に分かれています。その一つは調査グループ investigate groupで2人。二つ目は面接グループ meet groupで、5人。

 この前、9歳の里子が来て、2週間世話をしました。

 私の仕事は、里子の行き先を決める前に、2回以上家庭訪問することです。その後、別のソーシャルワーカーが訪問し、長時間インタビューをします。

 

 これは、「強いカードと熊のカード」と呼ばれる、大きなトランプのような、熊の絵が付いたカードで、子供の感情を表現するのに便利です。熊が喜怒哀楽をジェスチャーと表情で表しています。

 「あなたの今の気持ちは、どのカードかな?」 と子供に自分の気持ちを表すカードを選ばせます。

 頑張ってcourageous、君には能力があるよcompetent、リラックスしているねrelux、温かいねwarm、などと、励ましながら選ばせます。

 ある時、3歳の男の子に、「あなたに合った里親を探してみようか。どんな人がいいかな?」と聞いたところ、「思いやりがあってthoughtful、民主的な人がいいdemocratic」、という返事が返って来ました。

 

 このカードは、冒険好きadventurousで、 いつも走り回るのを表します。実親との関係を閉じるcloseのはこのカード。カードの絵の表現を使って、里親と里子の感情を理解し、表現します。

 ポーランドから養子がきました。家族の権利は、スウェーデンではとても強いです。裁判所で裁判官に、里子や養子の感情を伝えるのに、カードの絵が役にたちます。

 それでは皆さん、今回自分の家を出てこの会議に来るのに感じたことや、特に今この会場で感じていることを表すカードを選んで、その気持ちを順番に説明してください。

 

 (参加者が7〜8人の輪になって、カードを使って自分の気持ちを説明しあう。)

 

 このカードは、オーストラリアの会社で販売していますが、それをスウェーデン語に翻訳して使っています。55ユーロ、500クローネです。

 

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● デイブ・ペルザーの特別講演会

  Dave Pelzer

   世界中で400万部売れた本「IT(それ)と呼ばれた子」の著者、実母から虐待された後、里子として育った記録

    

 

 (最初、今回の大会の実行委員長であるコラ・ホワイトさんの娘さん、マーサ・ホワイトさんによる紹介あり。)

 

 ニューヨークのテロで、燃え上がるビルに登っていった消防士が、雑誌タイムの「2001年の顔」に選ばれました。やるべきことをやるのが偉いのであって、大統領が偉いわけではありません。軍人も偉いです。聾唖の子供に、何週間もかけて発音を教える人も偉い。里親として準備ができていないことは捨て去って、できることだけをしましょう。

 対話を止めてしまうのが、最悪です。男女は、神様があえて違うものに作りました。男は家に帰ったら、外の仕事の話を忘れて、別の顔を持ちましょう。

 人間は、耳から入ってきたことの7%しか、実際には聞いていません。アフガニスタンでアルカイダが活動していた5年前、テレビではその危険についていつも放送していたのに、2001年のニューヨーク・テロが起こるまでは、誰も気に止めなかったのがその証拠です。テロの後は、誰もがよくアルカイダのニュースに耳を傾けているでしょう。

 

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● サイレント・オークション 

 8月8日(月)から大きな部屋で開かれている、参加者などから寄付された品物のチャリティ・オークション。

 それぞれの商品の前に置かれた紙に、競り値と名前を書いていく。12日(金)の2時に締め切られ、代金と交換されました。

 私も日本から縫いぐるみや絵本など、多くの品物を持ち込み、大会運営費に若干寄与しました。

 

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● 全体会 

  韓国里親協会カン・スーン・ウォン会長(ハンシン大学教授)

    Dr. Kang Soon Won, president of Korean Foster Care Association

       

    

   (大会最終日の前日、8月12日の朝8時〜9時と、時期的に遅かったため、参加()がわずか10名と、ちょっと寂しい講演会でしたが、内容は充実していました。)

 

 

1、東アジアの歴史的背景

  儒教、占領、愛国主義、男女の区別、地域の差、経済格差、地域の多様性。

 

2.東アジアの家族形態

  自分の家族以外の子供に対する無関心、伝統的家族主義、男性中心主義、大家族から核家族化に変化。

  日本・中国・韓国においては、子供が労働力として使われてきた。これは、現在の日本や韓国では存在しないが、中国ではまだ続いている。タイやフィリピンにもある。フィリピンでは、セックス市場に売られる少女がいる。急激な西洋化に伴って、大きな変化が起こっている、学校へ行けない子供が、十分な生存権を持たず、衛生状態が悪い。戦争と暴力。

  日本と韓国は治安が良い。基本的人権、貧困、売春。

 

3.子どもの権利の侵害

  父親が子供の財産としての所有者。10%の人が金持ちで、90%の人は貧困である。幸せになる権利を奪われている。

  フィリピンに、父親に犯された娘たちがいる。母親が帰宅してそれを見つけ、父親を殴り、牢屋に入れた。娘たちは精神的に外出できなくなった。16歳、14歳、13歳。社会福祉の欠如。

  家族に面倒を見てもらえないとき、社会に見てもらう必要がある。子供の労働力は、性的な場面などで、10代から使われる。

  暴力、教育権。韓国からイギリスやアメリカに留学すると、そのまま帰国しない人が多い。日本は大卒でも仕事が見つからず、20代の若者は希望を失っている。

  女性は学校に行く機会が少ない。教育における男女差別がある。男は外、女は中という教科書の説明。文化に根付いた教育の差。

 

4. 東アジアの里親の現状

  日本と韓国における、里親の法的な立場。里親に対する文化的な抵抗感。養護施設中心主義。里親制度の社会的認知度の低さ。

  中国では、ストリートチルドレンが増加。一人っ子政策のため、未登録の子供が100万人以上発生・存在している。

  日本では、家庭に恵まれない子供の92%が、施設に行っていると聞いた。父親の帰宅が遅いため、母親への負担が重くなるのは、日韓共通である。子供は、一生懸命勉強しなければならない。

  韓国では、政府が里親に対して強く支援している。2005年現在で、17カ所の地域里親センターと、1カ所の中央センターがある。里親制度に力を付けるためのシステムが欠如している。家庭に恵まれない子供31,470人のうち、養子になるのが3,899人(10.1%)である。1998年に韓国フォスターケア協会ができた。これから、東アジア・フォスターケア協会を作りたい。

  ホームレスの子供は福祉の恩恵を受けられない。

  韓国は、今年2005年のIFCOの世界大会を引き受けると宣言していたが、人員と通訳の制約からキャンセルしてしまい、お詫びする。その代わり、アジアの国々に、東アジア大会の開催を呼びかけたい(実際、20069月に開催した)。2007年のIFCOニュージーランド世界大会に行く時には、ソウル経由で飛んで欲しい。

 

 

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  「日本の里親事情」分科会

  "Foster Care in Japan"  Situation 

 

●● 89日(火)14-17

  「日本の里親事情」分科会

  Situation of foster care in Japan

 

   発表者(以下敬称略)

    中兼正次・静子  北海道の里親(なかがねしょうじ、しずこ)

         Shoji Nakagane, Shizuko Nakagane

    佐野利昭     全国里親会理事(さのとしあき)

        Toshiaki Sano

    矢満田篤二    矢満田社会福祉士相談室長(やまんたとくじ)

    ヘネシー寿美子   Crossroads for Social Work, LLC 博士

             (ヘネシーすみこ)

 

    出席者22名、うち日本人6名

 

<中兼正次> 私は、まだ時差ボケが治っておらず、眠いですが、この大会に参加するために飛行機代だけでも1,700ドルも使ったので、この分科会では、自分が眠ってしまわないようにしたいです。(笑い)

   最初に、日本の歌を歌います。(中島みゆきの「時代」を歌う。)

   次に、パソコンと写真を使って、日本と北海道と中兼家の生活をご紹介します。(パワーポイントを使用。)

    日本では、家庭に恵まれない子供の92%が施設におり、里親に託されている子どもの率は8%しかいません。わが家に来た里子の事例で考えると、乳児院に入る前に比べると、わが家に来た後の方が表情がずっと明るいです。この点だけを見ても、乳児院よりも里親委託の方が望ましいと考えられます。(20分)

 

 <5分間の休憩>

 

<中兼正次> それでは続けます。最初に、私の妻の静子を紹介します。

 


なぜフライシャーは、辞任したのですか?

<中兼静子> 今日は。皆さんはもう、私の生活をご存じでしょう。私には3人の子供がいます。実子が一人、里子は2人です。下の里子は、6歳の男の子です。パンフレットにある英文を読みます。

 

(英文)

 Situation of foster care in Japan :  Shizuko Nakagane

 

          In Japan, it is called "Truth Notification" that the foster parents confess the fact of foster care to the children. It is a serious issue for everybody. There is no rule for that. It tend to be late.

          About 92 % of the children without happy family stay at the nurseries and the nursing institutions. Then, the rate of children with foster parents is only 8 percent. Many of the birth parents do not want to "submit" the children to foster parents, even if they can not raise themselves. They worry to lose the children. Japanese parent right is very strong and the authority have difficulty to get rid of the child from the birth parents without strong reason.

          Foster children are mentally unstable and have low self-esteem. They have difficulty to concentrate in study. The financial support to foster parents from the children guidance center of the prefectural government ends up, when the children finish high school at the age of 18. After then most of them give up to proceed to upper schools. They also have difficulty in finding jobs in the recession and because of their back ground.

          Foster children cannot make the bank account, even if they try to open it in the nick name. The banks accept only registered legal names to prevent the money laundering.

          Japanese fathers often go home late in the evening like 12 p.m., due to the overtime work. Raising children depend on mostly the burden of mothers.

          The social workers at the ChildrenGuidanceCenter are very busy nowadays for abusement cases. They cannot spend much time for foster care. As the custom in Japan, the workers are transferred to different offices every 2-4 years. The relationships between social workers and foster children are not very deeep.

          There is no custom to consult to lawyer without constraint in Japan. It is only when adopting children legally.

 

(原文)

 日本の里親制度の現状

   日本では、その子が里子であるということを、子供に教えることを「真実告知」と言い、深刻な問題だが、何歳までに、という決まりはなく、つい遅れがちになる。

   家庭に恵まれない18歳以下の子供の92%は、乳児院や養護施設にいて、里親に育てられているのは8%しかいない。実親は、子供を失うような気がして、里親委託を望まない。日本は親権が強く、児相も警察も、なかなか虐待児を実親から取り上げることが難しい。

   里子は情緒が不安定で、自尊心が持てない。勉強に集中できない。里親への行政的援助は18歳で終了する。ほとんどの里子は、上の学校へ進学することができない。そして、不況と生い立ちのせいで、就職も厳しい。

   里子は通称では、銀行口座を作れない。銀行が資金洗浄を防ぐためである。

   日本の父親は、残業や職場の宴会が多く、帰宅が遅くなりがちで、子育てはほとんどが母親の負担になる。

   児相の児童福祉士は、最近、虐待児の対応で忙しく、里子の世話に十分な時間を割けないので、関係が浅くなりがちである。

   日本では、気軽に弁護士を使う習慣がない。里親、里子の関係に、弁護士が出てくるのは養子縁組の時くらいである。

 

 

<中兼正次> 次に、全国里親会理事の佐野さんをご紹介します。

 

<佐野理事> (英語で) 私は英語が苦手ですので、英語で話をすることにためらいを感じます。しかし、私の上司である渥美会長から、日本の里親システムについて話をするように、命じられてきました。それで、日本の里親制度の改正についてお話しします。皆さんが日本の里親制度について理解できるように試みます。

   原稿を朗読(英語)

 

<中兼正次> 次に、矢満田さんを紹介します。

 

<矢満田> (英語で) 私は、矢満田徳治といいます。退職したソーシャルワーカーです。私はいま71歳です。髪の毛は白いですが、精神的には若いです。ありがとうございます。英語はここまでで、次からは日本語で話します。

   (日本語で)

   いまから、私が関係した養子縁組の家族の写真をお見せします。最初のシーンは、乳児院で、捨て子の赤ちゃんを保護した直後のものです。注意して見て欲しいのは、ほ乳瓶の受け台に、プラスチックの器具を使っているところです。乳児院では夜、手が足りないので、このようなものを使っています。

   私が見た事例の一つでは、里親さんが赤ちゃんを抱いてミルクを飲ませようとするとむずがるところを、乳児院の職員が床に置いてほ乳瓶を与えると、チュウチュウ飲んだことがあります。大変悲劇的な事例です。間もなく里親さんが、養子縁組しましたが、ちゃんと抱かれてお乳を飲むように変わり、安心しました。

 次の写真は、乳児院で何人かの赤ちゃんを並べて、順番に離乳食を与えている風景です。この写真からだけでも、愛着障害が起こることが、ご理解いただけることと思います。私はヘネシー先生に出会って、愛着障害の原理を教わって、初めて納得できるようになりました。

 

<ヘネシー> 私は、1996年に日本に招待されました。私はコロラド州で愛着障害の研究をしていましたが、それまで日本では、誰も愛着障害のことを知りませんでした。私が講演をした時に、矢満田さんがそれを聞き、謎が解けたと言っています。

 

<矢満田> これは、私が最初の頃に養子縁組をした7組の里親さんたちが、お互いに交流を始めた家族の写真です。それから10年経って、これだけ人数が増えました。家族が130人になりました。

   日本では養子縁組を隠す習慣がありますが、これはオープン・アダプションです。みな、お互いに助け合い、誇りに思っています。

   日本の公務員としては、このように変わったことをすると、成績が下がるのですが、退職した翌年、弁護士さんが同情して、人権賞をくださいました。私が生涯にもらったただ一つの賞です。

   この4人の養子さんたちは、それぞれ生みの親は異なりますが、全体としてとても素敵な家族です。私が非常勤講師をしている授業の中で、この一家に体験を話してもらいました。90分の授業に4人で参加してもらいました。一番下は4歳ですが、立派な紳士として最後まで我慢していました。

   次は、長野県のオープンアダプションの事例です。先月7月に集まった、養子縁組の皆さんです。サマーキャンプです。どの子も明るいですが、一つ運命が狂うと、乳児院から養護施設へ行くはずだった子供達です。これからも乳児院に行く子供をできるだけ減らして、家庭的養護を受けられる子供を増やすようにしたいです。有り難う御座いました。

 

<中兼正次> 私たちからの発表はこれで全部です。今度は代わりに、皆さんからお話していただく番です。何か、コメントや質問がありましたら、どうぞ。

 

Q(参加者) 一カ所で里親に登録されると、引っ越ししてもそのまま認められるのですか。

 

A(ヘネシー)  都道府県によって基準が異なるので、他の県に行くと里親登録が認められないこともあり得ます。

 

Q(参加者)  里親登録で、犯罪履歴の確認は行われていますか。

 

A(中兼正次、静子)  私たち夫婦の場合には、登録を申請してから3ヶ月間、特に何も動きが感じられませんでしたが、私たちの知らないところで児童相談所が身元を調査していたかもしれません。ただし、私は公務員なので、犯罪や所得の心配はしていなかったと思います。

他県の里親に聞いてみたところ、収入や家族状況、部屋の数など、厳しく聞かれる県もあるようです。

 

Q(参加者) 里親依託された子供の何%が養子になるのですか。

 

A 矢満田  全国で約90%です。里親のほとんどは、養子が欲しくて里親になっています。

 

Q(参加者)  里子が重い病気にかかっているときは、どうするのですか。

 

A 中兼正次  重い病気の子供は、最初から里親依託が行われません。児童相談所が2歳未満の子供を里親に依託しようとしないのは、病気があるかどうかの判定をしてからにしようとの説明です。

    しかし、実際には、重くて手に負えないほどの病気を持っていると判明してから、別の方法を考えれば良いのであって、乳児の時から里親依託をしてもらった方が、子供にとっても里親にとっても良いと思います。2歳までに、赤ちゃんの個性が固まってしまっていて、里親家庭に合わせるのが大変です。

 

Q(参加者)  子供にコカイン陽性の反応が出たら、どうなりますか。

 

A 中兼正次  日本では、麻薬の使用が大変少なく、私自身、麻薬はエイズや銃による犯罪と同様、マスコミの中でのことであり、直接目にしたことがありません。

 

A ヘネシー  東京の場合は、もう少し深刻と思われますが、全体として日本には、麻薬について、アメリカほどの深刻さはありません。

 

Q(参加者)  日本では、アルコールが自動販売機で売られているので、子供も簡単に手に入ると聞きましたが。

 

A 中兼正次  今の子供も親の世代も、高校生の一部や多くの20歳未満の大学生がアルコールを飲んでいます。18歳の人がアルコールを飲んでいることが、公式の場で明らかになると問題ですが、それ意外はほとんど問題になりません。

 

A 中兼静子  夜の11時から朝5時までは、自動販売機が停められますが、それ以外の時間帯には、自由にアルコールが販売されています。

 

Q(参加者)  卒業後に、里子はどうなるのですか。

 

A(中兼正次) 里子には、18歳以降、行政からの支援がなくなるので、就職にも進学にも苦労します。就職するには保証人が2人必要で、保証人が見つからなければ賃金の安い肉体労働くらいしか見つかりません。

    進学しようとしても、保証人は必要です。日本では奨学金制度があまり充実していないので、大学進学は大変困難です。保証人には、里親だった人や、その親類がなることがあります。

 里親になることは、他人の子供を預かる困難を伴うもので、親類でも反対することが多いようです。

 

Q 中兼正次   日本では、銀行口座を里親の名字による通称で作ることは、資金洗浄を避けるため、認められていません。皆さんの国ではどうでしょうか。

 

A(参加者)  カナダでは、資金洗浄を防ぐため、2種類の顔写真付きの身分証明書を提示しないと、銀行口座を作ってくれません。

 

Q(参加者) 先ほどのレジメによると、日本では超過勤務が多いそうですが、その手当は払われているのですか。

 

A(中兼正次)  日本の労働者のほとんどは、仕事が残っていれば、手当が払われようが払われまいが、超過勤務をして終わらせることが多いです。特に男性の中には、昇進に影響するので、家庭を省みずに仕事ばかりしている人が多いです。そのため、子供の世話をする暇がほとんど残りません。

 

Q(中兼正次)  日本では、真実告知について、何歳で行うかなど、親に任されており、決まりや目安がありません。

    私は先輩の里親から、幼いうちに教えた方が良いと教わりました。最悪の事例は、親が子供に告知する前に、近所や親類の人から、「おまえなんか里子だ」、と教えられることです。親からだまされたと怒る子供が多いようです。皆さんの国では、そのようなことがありますか。

 

A(参加者) オープンに話すことが大事とされています。

 

Q(中兼正次)  里子であることで、差別を受けませんか。日本では受けることがあると思いますが。

 

A(参加者、黒人女性)  昔のアメリカでは、アフリカ系アメリカ人は、差別されていましたが、今はもうそのようなことはありません。もちろん、白人が里子を預かるのに、黒人の子供しか来なければ戸惑うでしょうが、ちょっと奇異に感じるのは自然なことではないでしょうか。

 

Q(中兼正次) 里親制度について、大衆の前で話をするのに、抵抗がありますか。

 

A(参加者)  (声が小さく、聞き取り不能)

 

Q(中兼正次) 私達が16年前に、初めて里子を引き受けて、なかなかうまくいかないで悩んでいる時に、児童相談所からは、ほとんどアドバイスがありませんでした。一番助かったのは、1年に1回温泉で泊まり込んで開かれている、研修会の懇親会の2次会で、先輩の里親さんから教えてもらったことです。

    愛着障害や赤ちゃん帰りのような、里子特有の現象については、1年くらい経ってからテレビで見て初めて知りました。里子は所得税の控除の対象になるということも、児相からは教えてもらえませんでした。その控除は、職場の方が書類に気が付いて、2年遅れで手続きが間に合いましたが。

    我が家の里子が歯の矯正をするのに、保険が利かないかと児童相談所に相談の手紙を出しましたが、返事が来ませんでした。たぶん、児童相談所は忙しくて、個別の対応に手が回らないのだと思います。

 


        ところで、昨年、フロリダで開かれた全米里親大会に参加した日本の里子が報告しています。アメリカのある里子が発表したのですが、13回も里親をたらい回しにされたそうです。そのような里親間の移動は、よくあることなのでしょうか。

アメリカでは、多くの研修を行っている代わりに、簡単に里親の資格を失い、里子を引き上げられてしまうのでないかと想像しています。

日本の児相職員は、1年に1回くらいしか里親家庭を訪問して来ないので、里親から問題を投げかけなければ、児相も問題点に気が付かないのではないかと思います。

 

Q(ヘネシー)  昨年5月に、フロリダで全米里親大会がありました。日本から4人の里子が参加しました。アメリカの里子の中に、12人、14人,18人の里親をたらい回しにされたという子供達がいて、日本の里子達はみな驚いていました。

 

A(参加者)  私は、30年間里親担当のソーシャルワーカーをしています。里親を訪問するのは、1ヶ月に2回です。必要があれば、毎日のように行くこともあります。

 

A(参加者)  たらい回しにされたというその子供達は、特殊事例だったのではないでしょうか。アメリカでは、連邦政府の規則で、里親間の移動は2回以下までを目指す、とされています。移動回数は、少なくなってきています。

 

A(参加者)  僕はカナダで里子として育ったのですが、同じ家庭でずっと面倒を見てもらうことは、とても大事です。

 

Q(中兼正次)  日本では一般的に、問題があること自体が問題とされる傾向があります。議論が好まれない風土です。

    子供に問題があると相談すると、児童相談所から、里親に問題があるのではないかと判断される不安があります。里子を引き上げられてしまうかもしれません。それで、気軽に児童相談所に相談できない雰囲気があります。相談を受けると仕事が増えるので、喜ばないタイプの公務員もいるかもしれません。

    テレビで、アメリカのある養子が、自分は養子であることに誇りを持っている、と言っていました。日本ではそのように発言する人は少ないでしょう。皆さんの国の養子や里子は、そのことを誇りに思うと言えるでしょうか。

 

A(参加者) カナダでは、里子のグループホームといえば、少年院を出てきた子供と一緒にされる例があります。このため、「里子」のイメージは必ずしも良くありません。養子縁組した子供と里子が同居している例も多いです。それで、養子にしてもらった子供は喜んで、誇りに思うかもしれません。

 

Q(中兼正次)  児童相談所は、「実親が同意しないので、里親に回すことができない」、と説明しています。もしそうだとすると、その子供は実親の持ち物のような扱いを受けています。

    里親である私は、そうした実親と話をしたこともなく、実親の反対が原因ということがどこまで本当か分かりませんし、情報が全くありません。私は、児童相談所が施設を重視しており、里親制度に真剣でないのではないか、と思っています。ただし、少子化のため、施設も定員割れしています。

 

Q(ヘネシー)  アメリカやカナダでは、里子の養育に実親を巻き込むようにしてきています。里親の中には、里子と一緒にその実親をも一緒に育てているような事例が見られます。

 

A(参加者)  昔は、里親と実親が会ってはいけないと考えられていた時代もありましたが、現在ウイスコンシン州では、里親の募集要項に、「あなたは、里親になるのであれば、実親と一緒に働かなければならない。あなたは実親の親にもなるのです」と明記されています。

もちろん、実親を巻き込むと、ソーシャルワーカーの仕事はずいぶん増えますが、結果はずっと良くなります。

 

Q(中兼正次)  日本では、赤ちゃんを里子として引き受けるまで、4〜5年も待たなければならないことも多いです。景気が良くなると里子に出す子供が減り、悪くなると増えると聞いています。

 

A(参加者)  赤ちゃんは、実親のところに戻すことを最優先するので、里親のところには来ないかもしれません。里子の候補として一番多いのは、ティーンエージャー(注:英語で○○teenという言い方は、1319の間。よって、ティーンエージャーはその年第の子供を指す)、他の兄弟がいる、病気持ちなど、難しい子供であり、説明書には、そのような子供が来るかもしれないと明記されています。

 

A(ヘネシー)  日本では、里親の数が少なく、逆に、施設の数が多いので、ティーンエージャーはほとんどが施設に残っています。

 

Q(中兼正次)  日本の里子は、里子であることを恥じる傾向があります。それで、自分だけが特別なのではないということを自覚してもらうため、数年前に、全国と地方に「里子会」が組織されました。皆さんの国には、里子会がありますか。

 

A(参加者) ウイスコンシン州には、里子会があります。他の州でも、里親会の会合のときに、ついでに里子も集まることが多いです。

 

A(参加者) カナダの方がアメリカよりも、里子会がずっと盛んです。男子のグループと女子のグループがあり、女子の方がずっと人数が多いです。ニュースレターを作ったりして活動しています。最近、日本からも里子のグループが来たので、世話をしました。

 

(中兼正次)  今5時ですが、日本時間では朝の7時です。私は眠いのですが、眠り込んでしまうことなく皆さんとディスカッションができ、皆さんの国の里親事情が少し分かって、大変有意義でした。ここで、ヘネシー先生から、少しコメントをいただきたいです。

 

(ヘネシー)  日本はまだ皆さんの国から学ぶものが多いと思います。人間関係が大事です。昨年、養子の子供達と話し合いをしたら、自分達の問題は里子の問題と同じではないか、ということになりました。今日は有り難う御座いました。

 

(中兼正次)  今日は最後までお残りいただき、どうも有り難う御座いました。

 


●● 世界里親大会で気が付いたこと

 

 

 日本の里親会は、Foster Parents Association であるが、見聞きした外国の会はいずれも、Foster Care Association という名称だった。

 これは、里親にソーシャルワーカー(児童福祉司)、研究者、行政まで含めた、里子支援の会であり、日本で言えば里親会に東京のアン基金プロジェクトを加えたような幅広い会である。ひょっとしたら、里子OBも会員になっているかもしれない。

 日本の里親会は里親のみからなり、行政や児童相談所の支援を受けている。ひょっとしたら、外国式の方が里子のためには良いかもしれないと感じた。

 

 パンフレットについて。発表の区分ではなく日にちごとになっており、分かりにくい目次がないミスプリで、全体日程の2ページの表の半分が落丁しているので、使いにくかった。帰国後に資料を整理していたら、新しい全体日程表がバスの時刻表の後ろにはさまっていたのに気が付いた。

 最新の全体日程表を、壁に貼っておいて欲しかった。

 

 私の発表で、「プレゼンテーション・ソフトを使いたいので、パソコンとプロジェクターの用意を」とずっと前から依頼してあったのだが、念のため前の日に再確認したら、用意されていなかった。 

 

 英語以外の表示が全くない通訳(手話を含む)が全くおらず、全て英語のみの大会だった。ただし、「日本の分科会で、日本語−英語の通訳が必要であれば、日本語専攻の大学生を手配する。」とコラ大会会長から申し出があったが、あえて依頼していなかった。

 

 イギリス、フランス、ドイツなどの大国の参加がなかった。

 経済的に豊かでない国からの参加者には、大会の総予算の中から旅費をSchalarshipとして補助していたようだ。

 

 

 マジソンの印象

 ウイスコンシン州マジソン市は、アメリカ人の中では経済的に中流階級が住んでいると聞いたが、日本の水準からすると上流階級(富裕層)の人たちが住んでおり、大きな大学があるこぎれいな街である。

 街の中も農家も、家回りがきれいに整頓されており、ゴミがほとんど落ちていない。芝が貼ってあり、自分で刈るか、業者に依頼して数センチの長さに手入れしている。乾燥しているせいか、日本よりも明らかに芝の成長が遅く、雑草が少ない。街の中に花がほとんど見られず、手間がかかる作業をしないようにしているようである。

 大陸の真ん中であり、乾燥しているため、日差しが強く、太陽がまぶしくて目が痛くなる。アメリカ人の中に、サングラスをしている人が多い理由が分かった。

 

 アメリカの料理は私には甘すぎて、量が多すぎる。レストランの料理に野菜が少ない日本食には、家庭料理、レストラン、給食を含めて、数多くの食品が入っていて、大変健康的であることが分かる。アイスクリームが3段重ねで豪快で、味はまあまあである。

 飲み物やポップコーンの入れ物が大きい。紙コップが大きい。台所でもトイレでも、大きなペーパータオルを使っている。布巾は使っていないようである。

 マジソンでは、レタス、ブロッコリー、にんじん以外は、野菜は缶詰が多い。アメリカでは有機野菜がブームになっているが、それにしても生の野菜はあまり出てこない。スーパーの野菜は、保存が効き、堅くであまりおいしそうでないものが多い。

 

 冷房が効きすぎているのは、最近の日本と同じ。

 どこかで聞いた通り、みな、開くドアを次の人のために手でっているが、逆に、日本人がよくするようにエレベーターでボタン押して他の人が出ていくのを待つのは見かけなかった。

 どこに行ってもトイレがきれいで、洗面台や床が濡れていない。シカゴ往復のJAL飛行機の中は、日本国内便よりもきれいである。レストランでも同じである。水道の水圧が強く、便器が水の流れだけで相当きれいになるのではないか。水道は、あちこちに数十mの高さに設置されている水タンクから落ちてくる。キャンプでもお湯が出て、シャワールームもトイレもきれいで、床が乾いている。乾燥しているせいでもあるだろうが、アメリカ人はトイレの使い方が丁寧なのではないかという気がする。

 

 レジでは、ニセ札かどうかをペンで色をつけて確認している。偽札の場合は色が変わるようだ。スーパー雑貨や食料品の値段は、北海道とほとんど差がないので、意外だった。ただし、有機食品スーパーでは、普通の食品の2倍くらいの値段である

 たばこの自動販売機があまり見られない。タバコを吸う全体の量が少なく、どこに行ってもほとんど煙が気にならない。

 ちょっとしたことでもExcuse meを多用して小さな摩擦を避けている

 

 

 軍隊への信頼

 軍隊を使って国の形を作るとか、銃を使って社会の安全を守るのだというという、強い信念が感じられる。軍人に対する尊敬の念。スーパーのレジ横に、第二次世界大戦で日本に勝った記録の本が売られていたので買った

 ウイスコンシン州庁舎の2階に、旗が6本並んでいたが、合衆国と州と郡の旗の他、3本が軍隊の旗であった。陸軍、海兵隊、空軍。

 州庁舎横にある、ウイスコンシン退役軍人博物館veterans museumを参観した(無料)。南北戦争、独立戦争、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争のコーナーがある。第二次世界大戦コーナーは、15メートル四方くらいのスペースで、ほとんどがドイツとの戦いに重点を置いている。日本との戦いは、その片隅、縦2メートル、横1メートルのケースの中に、日本刀と拳銃と写真1枚に、「日本との戦いで、太平洋で勝利した」という文章が掲示されているだけである。たぶん、ウイスコンシン州が大陸の真ん中にあり、たまたま日本との戦争に駆り出された兵士が少なかったからのようである。

 シカゴのはとても大きい。

 

 シカゴの巨大な「フィールド(自然史博物館」の太平洋戦争コーナーも、3メートル四方くらいのスペースに、写真と日本に勝って良かったという詩が掲示されているだけである。

 以前、「第二次世界大戦」というアメリカ製のビデオを買ったことがあるが、60分のビデオのうち50分間はドイツとの戦いで、最後の10分間に、原爆を作ったおかげで、日本の軍国主義を押さえ込めて良かった、という説明であった。

 これらを見ると、アメリカ中西部の人にとって日本との戦争はほとんど取るに足らない出来事だったようである。アメリカはその後も常にどこかの国と戦争を続けており、特に日本との戦争が重要だということでもないのかもしれない。



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