2005年世界里親大会参加記録
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    14th IFCO 2005 Biennial Conference
    International Foster Care Conference (IFCO)  
    August 7-12, 2005, Madison,   Wisconsin, USA
    Record, by a Japanese participant
     
    ●2005年8月7日(日曜日)〜8月12日(金曜日)●
    アメリカ合衆国ウイスコンシン州マジソン市
     国際フォスターケア機構IFCO第14回世界里親大会2005(隔年開催)
     
    北海道 里親 中兼正次
  Shoji Nakagane, Hokkaido,   Japan, foster  parent
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    2011年IFCOカナダ大会の参考に、2005年アメリカ大会の参加記を参考として掲載します。
    本文の修正のほか、写真を近くアップします。
    2011年7月8日 JULY 8, 2011
              
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     2005年8月に、アメリカ・ウイスコンシン州の州都マジソン市で開かれた、国際フォスターケア機構IFCOによる、2年に一度の世界里親大会に参加してきました。日本からだとなかなか参加できない大会なので、見聞きしたことを記録しました。
     大会の参加者は、全部で約700名(主催者発表)で、そのうち日本人は大人6名です。37の国と地域からの参加がありました。
     記録には、英語のヒアリング能力が十分ではないので、ところどころに聞き間違いがあるかと思いますが、ご容赦ください。大会は8月7日(日)〜13日(土)の7日間でしたが、私が参加したのは7日(日)、8日(月)、9日(火)、12日(金)の4日間です。
     10日(水)は大会の中日でお休みになり、オプショナル・ツアーがいくつか組まれていましたが、私は別行動をとりました。
     
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       ●●8月7日 日曜日 = 大会開会式●●
     
     マジソン市は、二つの湖にはさまれた、人口22万人の街です。大会は、そのひとつ、モノナ湖のほとりに1年前に建てられたホテル・モノナ・テラスで行われました。(里子会議は別の会場で開かれました。)
     受付で、黒いビニール製のリュックサックをもらいました。中には、大会パンフレット、名札、マジソンの地図、メモ用紙、参加証明書、「地球に優しい子供の育て方」という本、近くの店の割引カードなどが入っていました。
     
     
     以下、開会式の様子です。
     今回の大会の実行委員長である全米里親会長のコラ・ホワイトさんの開会宣言で、大会が始まりました。彼女は4年前2001年に札幌、2004年に東京で開かれた全国里親大会に参加されており、私とは3度めの対面でした。2002年に、我が家の中2の娘たちが、夏休み1ヶ月間のホースステイでお世話になったご縁でもあります。
     
     次に、参加各国と各地域の旗が入場しました。地元のボランティア学生らしい男女が順番に旗を持って入りました。日の丸もありました。数えると、ウイスコンシン州やアメリカ・インディアンなども含めて、37の名前が挙げられました。最後に、男女の軍人4人が、アメリカの国旗と銃を持って入場しました。
     
     米国国歌のアコーディオン演奏がありました。州庁舎や退役軍人博物館の説明などでも感じましたが、アメリカ人は自国の軍隊と国旗に高い敬意を払っているようです。
     
      <呼ばれた国と地域の名称>
        ウイスコンシン州、アメリカ・インディアン(旗なし)、アルバニア、アルゼンチン、オーストラリア、ブルガリア、ブルンジ、カナダ、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、ガンビア、インド、アイルランド、日本、コソボ、アルジェリア、モルドバ、モンゴル、オランダ、ニュージーランド、ネパール、ナイジェリア、ノルウェー、ポルトガル、スコットランド、南アフリカ、韓国、スウェーデン、ウガンダ、ウクライナ、イギリス、アメリカ、ウエールズ、クルディスタン
       
     8〜10人もの挨拶が続きました。
     「1973年に、イギリスで世界こども会議が開かれ、70カ国から人々が集まり、IFCOが創設されました.....。」
     「コラとシェーリーは、1997年からこの大会の準備を始めました.....。」
     「この大会は、里親会と養親の会が一緒になって開催する、初めての会です.....。」
     日本からは、全国里親会の渥美会長の代理として、佐野利明理事がメッセージを読み上げ、コロラド州在住のヘネシー澄子氏が通訳しました。
     「この大会の開会をお祝いします。渥美会長から派遣され、メッセージを代読します。子供の成長は望ましいことですが、世界にはそれが阻害されている子供が多いです。里親制度は素晴らしいものです。日本でも最近、里親制度が改正されましたが、まだ制度的に不十分です.....。」
     挨拶が終わった後、メキシコの勇壮な太鼓と民族舞踊、メキシコの宗主国だったスペイン風のフラメンコなどが続きました。
     
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        ●●8月8日 月曜日 大会2日目  ●●
     
    ● 全体会
     ロズマリー・カルビノ教授(ウイスコンシン州立大学マジソン校)の講演
     
     子供は、実親と里親の両方を大切にできます。里親として、その行動が良かったかどうかは、ずっと後にならないと分かりません。フォスター・ケアは、家庭全体の仕事です。里親とエージェンシーと実親の、共同作業です。解決法の答えはなく、問題の解決法には、いかなる方法でもありえます。アメリカでは、実親と接触することの効果が注目されています。里親の数が、多くの国々で減少してきています。
     ソーシャルワーカーは忙しく、毎週里親と接触するにしては、時間が足りません。役所からの支援は少ないです。里親家庭では、子供の栄養状態が悪いことが多いです。養育に、実親をもっと含めるべきです。学校を出たてのソーシャルワーカーに対して、里親は自分の経験を伝えて、教えることができます。
     foster  parents agencyが多くの支援をしています。里父は、子供の福祉の中では影が薄いことが多いです。
     
     <講演の最後に男の人が出てきて、ウクレレのような楽器を使って歌いました。この日の夕方、ファミリー・コンサートを開く予定の、ピーター・アルソップ博士でした。>
     
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    ● インターネットを使った里親の研修   9:00-12:00
       Connecting caregivers in cyberspace: internet tools for foster parents
       リチャード・ディレーイニー博士
         (デラニーと書きますが、発音はこのように聞こえました。)
       Presenter. Richard (Rick) Delaney, PhD, Foster Parent    College, Colorado
       
     
    参加者 7名
      リック・ディレイニー博士  コロラドの大学の先生
      ノースダコタ州の大学のトレーニングセンターの先生
      ウィスコンシン州のソーシャルワーカー
      ウィスコンシン州の里親
      イギリスの里親エージェンシーの女性
      里親歴5年目、教育委員で、子供がいる男性
      中兼正次
     
     私の10歳になる娘は、日本の漫画に凝っていて、「日本人になりたい」と言っています。
     ベッドの下にビニール袋の麻薬や武器を隠した10歳の女の子の例。この行動には100種類もの理由があるでしょう。
     8歳の男の子が、一人っ子で、これまでど通りに王子様でいたかったのに、4カ月の女の子の里子が王女様としてやって来たとたんに、怒鳴りちらすようになりました。
     躾るのに、髪の毛を引っ張るのは、マイナスのやり方です。
     里子が物を盗むのは、生存するためです。壁を叩いてひびを入れたときは、しつけを始めるチャンスです。
     8歳の男の子が、父母の離婚に落ち込み、ADHDになり、白いカーペットにジュースをこぼしました。父は怒って、コップを床に落としました。そのようなとき、私なら怒らないで、息子に掃除をするように言います。子供は、そのような出来事をずっと覚えています。
     
     里親はしつけの仕方を学びたがっています。
     私は、里親がインターネットの中でケーススタディを通してしつけの方法を学べるように、「フォスター・ペアレント・カレッジ」というサイトを開設しています。オンラインまたはDVDの形式で提供しています。パソコンでそのサイトをお見せします。
     fosterparents.college.com   
     インターネットの中では、何でも不安なく言えます。サイバー・セラピーも可能です。イエスかノーかが言えないODD、PTSD、ADHD等々に対する対応方法を説明します。
     問題行動には理由があります。それは、子供達が自分を安全にすることです。ちらかったベッドルーム、ADHD、パワーコントロール(力の管理)、アンガー・マネージメント(怒りの感情の管理)、アタッチメント・ディスオーダー(愛着障害)等々。
     里親の多くは望みませんが、最近アメリカでは、里子を実親に会わせることが推奨されています。
     里親が自宅で研修することを、イン・サービス・トレーニングと言います。州によって違いますが、里親は1年間に短くて12時間、長くて3日間、研修を受ける義務があることが多いです。ただし、ウイスコンシン州にはそのような義務はありません。仕事があるのでこの研修に父親が参加することは難しく、母親が行くことが多いです。ホームページを使って研修を受けることもできます。州によっては、そのホームページの利用が有料の場合と無料の場合があります。
     フラッシュ・プレーヤーというソフトで、ある里親家庭の会話の事例を紹介します。掲示板(ディスカッション・ボード)で、登録者同志が討論しているところに、私からアドバイスを書き込みます。
     
     摂食障害eating disorderは、ネグレクトから起こります。食べ物を盗んだのは、自分の生存のために確保しただけで、自分を守るためです。オンラインまたはDVDを使って、有料で研修を受けることができます。
     里親のところに里子が来たら、まず体と全ての持ち物を洗うことが多いでしょう。しかし、それはマイナスのやり方です。今まで住んでいた所から持ってきた、よだれがついて汚れたテディベアの縫いぐるみまで洗われてしまうと、里子は、それ以前の自分が大事にしてきた過去を消されてしまい、戸惑います。
     同じインターネットでも、チャットはスピードが早すぎて編集できないので、掲示板を使って指導しています。
     実子が、あめ玉を里子に渡さないように、靴の中に隠すこともあります。
     ブッシュ大統領は、多額の予算を里親のために支出しています。
     このDVDは以前は個人にも売っていましたが、違法コピーを作る人が出てきたので、里親のエージェンシーにしか売らないことにして、ほとんどはインターネットで指導しています。
     
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    ● 8月8日月曜日 13時30分−15時
      ソ連崩壊後の養育  fostering in post soviet  transition
      ミラ・アントニャン博士
      Mira Antonyan, Phd, 社会学者、アルメニア国エレバン市 エレバン国立大学
       eght hundred social workers, 15  academics-teachers  who teaches in  university and about 200 students who are going to become a social workers.
     
     アルメニアには、ソ連時代はソーシャル・ワーカーがいませんでした。